黙々とダンベルトレッドミル(ルームランナー)フィットネスバイクなどなど、室内での筋トレや有酸素運動…そんな方法で身体を鍛えるのは、寒くて暗い秋冬シーズンにいい方法かもしれません。ですが、暖かくて晴れた日が続くと外に出かけたくなりませんか?

「人間には、『自然の中で過ごしたい』という本能があります。それが満たされないと、体調が悪くなる場合は多いです」と語るのは、ジムではなく外に出てトレーニングすることを推奨する「アウトドア・フィットネス・インスティテュート」の創設者ティナ・ヴィンダム。「外に出て身体を動かすと、さまざまな利点があります。例えば、体内のビタミンDが増加したり、体内時計のリズムが改善されたりするのです」と続けます。

さまざまな研究結果も、これを裏づけています。

ある予備的な研究によると、「15分間という短時間でも、外を散歩すると室内で歩き回るよりも作業記憶や集中力に改善の兆しが現れる」ということがわかりました。また他の研究では、「自然もしくは緑の中で運動すると活力が湧き、憂鬱な気持ちやストレスが軽減される」ことも示されています。

さらに、わずか35人の男女学生を対象にしたものではありますが、別の研究*⁴では「運動は野外でやるほうが楽に感じられる」という結果も出ています。試しに青い鳥や明るい日差し、そして暖かいそよ風などを思い浮かべてみてください…この結果にも頷けるはずです。

とは言え、これまでエクササイズをお気に入りのジムでやっていた人が、アウトドアでのワークアウトを始める場合には、いくつか注意しなくてはいけない点があります。

「新しい運動パターンや筋肉の異なる使い方は当然、多少の痛みや筋肉のこわばりをもたらすことでしょう。ウォーミングアップをしっかりと行って、特に初めての運動なら、ゆっくりやることが大切となります」と、ヴィンダムはアドバイスしています。

筋肉痛を和らげる市販薬「アイシーホット*⁵」を製造しているヘルスケア企業「Sanofi(サノフィ)*⁶」の研究開発責任者サラ・バンガーによると、「新しいトレーニングをしたときに起きる筋肉痛は、日常的な活動レベルを超えて筋肉を追い込んだためであり、筋肉はより強くしたいというあなたの要求に応えようとしている証になります」とのこと。

それを知れば安心するはず。さらにバンガーは、新しい運動を始めるときの注意点をこうまとめます。「自分の身体の声に耳を傾けること、トレーニングの強度と長さは徐々にプラスすること、きちんと回復する時間を取ることが重要となります」

筋肉を回復へと着実に導くためには、水をたくさん飲み、温冷を組み合わせて筋肉の炎症を抑えることが必要です。「氷で冷やすと血管が収縮するので、腫れを抑得てくることが期待できます。温めた場合は逆に、血管が広がることで血流が良くなり、細胞の老廃物を除去する働きが強くなることが期待できるのです」と、バンガーは話しています。

アスリートたちの間では、痛みの軽減やリハビリテーション目的として交代浴(温冷交代浴)が頻繁に利用されています。一般の人にとっては、サウナで経験しているはず。最近ではアイスバス冷水シャワーも話題になっています。

“冷却”と“温熱”を交互に適用する治療法「コントラストセラピー(温冷療法)」に関しては、スポーツ医学やリハビリテーションの分野で広く用いられており、多くの研究によってその効果が支持されています。特にスポーツ選手の怪我の回復を助ける手段として、また一般的な筋肉痛の緩和にも役立つと信頼の厚い対処法となっています。

「アイシーホット」という製品も、これと同様にメントールとカンフルという鎮痛成分を使っています。バンガーいわく、「これらの有効成分は、皮膚の温度変化を感知する特定の受容体に働きかけます。まず冷たさを感じて痛みの軽減を図ります。次に、筋肉を和らげ痛みを取り除くために温かさを感じるようにしています」ということ。

さあ、エクササイズのルーティンを変える準備はできたでしょうか。それではこの春にチェックしてみたいアウトドアエクササイズと、それを始めるためのアドバイスをご紹介します。

※「アイシーホット」の一部の製品は、日本でも販売されています。ただし、製品の安全性や使用上の注意には留意が必要です。使用する際には皮膚が刺激されたり、火傷を起こす可能性があるため、適切な使用方法を守ることが重要となります。​

hiking
Getty Images

1. ハイキング

ウォーキングをもっと楽しみたい人におすすめ

ウォーキングが身体にとても良いことは、多くの人が知るところでしょう。でも、トレッドミルの上で歩き続けるのは退屈のはず。「ハイキングはウォーキングの延長線上にありますが、それ以上のものでもあります」とヴィンダム。

ウォーキングと異なり登りと下りがありますが、さらに道ではないところを歩く場合には地面が変化すること、木の根、岩、そのほかの障害物を乗り越えなる必要があるため、とてもチャレンジングなスポーツと言えます。

【アドバイス】
「ランニングシューズやサンダルではなく、適切な靴を履くように」と、ヴィンダムはアドバイスを続けます。「必ずしもハイキングブーツが必要な訳ではありませんが、安全が確保できる靴、地面をしっかり踏み締めグリップできる力のあるソールのものがベストです」とも…。

そして、たとえ長時間ハイキングするつもりがなくても水を持参すること。水分補給はどこを歩いていても必要です。

オープンウォータースイミング
MoMo Productions//Getty Images

2. オープンウォータースイミング

もう1周プールで泳ぐなんて耐えられないと思っている人におすすめ

湖や海など開放された水域なら、レーンも壁もありません。さらに混雑したプールでよく起きるように、前後の人と密接して泳ぐ必要もありません。オープンウォーターで泳ぐことで味わえる自由は、とてもスリリングなはずです。

「オープンウォーター・スイム・アカデミー」の創設者である水泳コーチのダン・シモネリ*⁷いわく、「プールというコンクリートの箱から出られるだけでも素晴らしいことです。オープンウォーターで泳ぐとこの上ないチャンスが得られます」とのこと。

【アドバイス】
オープンウォーターで安全に泳ぐためには、その環境についてよく理解することが欠かせません。「いきなり飛び込んで泳ぎ始めるのはやめましょう」と、シモネリは言います。そして、こう続けます。

「水温、風、地形、流れの有無、ボートが来るのかどうかなどを把握する必要があります。そして最初は、あまり遠くまで泳いでいかないことです。まずは50メートルほど泳ぎ、戻ってきましょう。ゆっくり始めてまずは水を楽しみ、また戻ればいいのです」

トレイルランニング
Ascent Xmedia//Getty Images

3. トレイルランニング

トレッドミルに飽きた人におすすめ

ハイキングではアドレナリンが出にくい人、あるいはもっとスリルを味わいたい人にはトレイルランニングがぴったりです。平地よりも多くのカロリーを消費できるだけでなく、より多くの筋肉を動かせます。

「バランスを保たなくてはいけないので、より筋繊維が鍛えられます。また起伏のある地形で体を支えるため、体幹も強くなります」とヴィンダム。

【アドバイス】
「トレイルランニングでは、すねの前面に少し負担がかかります。そのため整地されていない地面を走るときには、脚全体を少し高く上げるようにしましょう」と、ヴィンダムはアドバイスしています。

また、下り坂についても注意点を伝授しています。

「鼻先が膝よりも前、膝がつま先よりも前に来るようにします。つまり、ふんぞり返らないようにしましょう。そして手は、常に見える位置に置いておきましょう」とのこと。

gravel biking
Getty Images

4. グラベルバイキング

混雑を避けたい人におすすめ

グラベルバイキングは砂利道にとどまらず、泥道から使われていない線路まで、舗装されていないさまざまな地形を走るスポーツです。『Gravel Cycling: The Complete Guide to Gravel Racing and Adventure Bikepacking』の著者ニコラス・リーガン*⁸は専用のグラベルバイクをこう説明しています。

「グラベルバイクに乗るときの姿勢は、ロードバイクに似ています。またドロップバーがあり、タイヤはマウンテンバイクよりも細いものが装備されています」と…。必ずしもグラベルバイクが必要なわけではありませんが、走る場所によっては安全性と快適性が得られます。

【アドバイス】
「自転車に乗れるなら、グラベルバイキングはすぐに始められます」とリーガン。でも、「その路面でターンができるかどうかを見分けられるようになるには、少々時間がかかるかもしれません」とも言います。

また道の先を見て、走る道筋を考えながら走ることも必要となります。「チューブレスタイヤとタイヤ用の接着剤のおかげで、どうしても必要という状況は少なくなりました。ですが、パンクしたタイヤをなおす方法も知っておくべきですね。それらを覚えたら、気楽にライドを楽しみましょう!」とリーガン。

「グラベルバイキングは、新しい場所や新しい経験の探索そのものですから」と結びます。

クライミング
Daniel Milchev//Getty Images

5. クライミング/ボルダリング

新しい筋力トレーニングを探している人におすすめ

筋肉をつけたいなら、壁に挑みましょう。クライミングは腕、肩、体幹、大臀筋、太もも、ふくらはぎを鍛える全身運動です。また登ることは、有酸素運動にもなります。ある研究*⁹によると、ロッククライミングのエネルギー消費量は約1.5キロを8から11分で走るのと同じ数値になりました。

【アドバイス】
手だけでなく、脚(&足)も使って登るスポーツだと考えましょう。下半身のほうが上半身よりも筋力があるので、可能ならば脚の力で次の地点まで身体を押し出し、体幹を鍛えましょう。

また外でのクライミングには、それなりのリスクが伴います。適切なスキルを身につけてから外に出ましょう。

ストレングス・サーキット
Drazen_//Getty Images

6. アウトドア・ストレングス・サーキット

フリースタイルを楽しみながら筋力をつけたい人におすすめ

筋肉をつけ、それを強くしていくのにバーベルもダンベルもウエイトスタック*¹⁰も必要ありません。「自分の体重を活かし、身の回りにあるものをクリエイティブに使いながらアウトドアでフルにワークアウトができます」とヴィンダム。彼女のアウトドアエクササイズは有酸素運動とストレングストレーニングをミックスさせたもので、さまざまな方向に動きながら筋力を高めることに重点を置いています。

【アドバイス】
ヴィンダムがアウトドアでやる筋力トレーニングの中から、お気に入りの動きをいくつか教えてくれました。

ハイニースクワット腕立て伏せ、公園のベンチを使った上腕三頭筋ディップス、階段を使ったステップアップ、回転を加えたランジプランクなどが好きです」と言います。参考にしてみましょう。

[脚注]

*1:Tina Vindum The Outdoor Fitness Instituteの公式サイトを参照

*2:運動が行われる環境は、運動自体と同じくらい重要であるという研究結果がある。公式サイトを参照

*3:緑豊かな運動環境がすべての人にどのように役立つかの研究結果。公式サイトを参照

*4: 35 人の若い女性 が、屋外および実験室環境で 10 分間ウォーキングした結果、参加者は屋外ウォーキングの方がより快適な感情状態、楽しさ、今後の参加意欲を報告しました。公式サイトを参照

*5:Icy Hot 筋肉痛や関節痛などの痛みを一時的に和らげるために使用される、外用鎮痛剤。メントールやメチルサリシレートなどの成分を含んでおり、冷感と温感の両方を提供することで痛みを緩和します。公式サイトを参照

*6:Sanofi 2004年にAventis(アベンティス)とSanofi-Synthelabo(サノフィ・サンテラボ)が合併して設立されたフランスに本拠を置くグローバルな製薬企業。「アイシーホット」なかりでなく、糖尿病治療薬「Lantus(ランタス)」や自己免疫疾患治療薬「Dupixent(デュピクセント)」などの代表的な製品を持つ。公式サイトを参照

*7:Dan Simonelli Open Water Swim Academyの公式サイトを参照

*8:Nicholas Legan 自身のLinkedinを参照

*9:スポーツロッククライミングの生理学より。公式サイトを参照

*10:Weight stacks 筋トレマシンに組み込まれた一連の重り(ウエイトプレート)。

ぜひ、メンズヘルス公式「X」(@menshealthjp)もお願いします。

From: Men's Health US