◇トム・コリンズのつくり方
■所要時間:5分
■材料
- ロンドン・ドライジン 2オンス(約59ml)
- レモンジュース 1オンス(約29.5ml)
- シロップ 2分の1オンス(約14.8ml)
- ソーダ(炭酸水)
【1】氷の入ったシェイカーにレモンジュースとシロップ、ジンを入れてシェイクする。
【2】シェイカーの中身を、氷が入ったコリンズグラスにゆっくり注ぐ。
【3】さらにソーダを足して、飾りのレモン(スライス)とカクテル用チェリーを添える。
◇トム・コリンズとは?
トム・コリンズは、自宅でカクテルを味わいたいときには持ってこいのカクテルと言えるでしょう。このお酒は、私たちが長年愛飲しているカクテルでもあるかと思います。
トム・コリンズの味は、爽やかでピリッとしたものです。トム・コリンズはトニック抜きのジンであり、そのためジントニックよりもはるかに美味しいと思い方も多いはずです。また、入手困難な材料は1つもないため、気軽につくることができるわけです。そうしてこのカクテルは、紳士の間でずっと愛飲されているのです。
「エスクァイア」ではずっと前から、トム・コリンズを読者の皆さんにおすすめしてきています。例えば1946年には、トム・コリンズを知るに値するカクテルだと言い切っていました。またその2年後には、その人気(の高さ)に驚き、「何百万という人々が、『トム・コリンズを頼む!』と何も考えずに大きな声で注文している」と記していました。
さらに1980年代後半には、クリームやリキュールがたっぷり使われた他の派手なカクテルがもてはやされて、トム・コリンズがないがしろにされている状況を嘆いてもいました。
そして現在、私たちはちょっとしたシンプルさとたくさんの清涼感を強く欲しながら、再びトム・コリンズについて話そうとしています。
トム・コリンズの中でもよりトラディショナルなものは、氷を入れたコリンズグラスにシェイクしたお酒を注ぎだあとステアし、最後に炭酸水を足すというものです。搾りたてのレモンジュースとシロップ、ジンを先にシェイクし、その後で氷の入ったグラスへ注ぎ、最後にソーダを加えるというつくり方もあるので、ぜひお試しください。
◇トム・コリンズの歴史
― 誕生にまつわるトリビア
そもそもは19世紀半ば、イギリス・ロンドンにあったThe Limmer’s Hotelのバーテンダーであるジョン・コリンズ氏が、ジンの原型とも言われるオランダの「Jenever(ジュネヴァ)」を用いてつくった「ジョン・コリンズ」というカクテルが祖であるということ。やがてベースをイギリス産「Old Tom Gin(オールド・トム・ジン)」に替えてことからから、「トム・コリンズ」と呼ばれるようになったいう説が有力です。
その一方で、トム・コリンズはアメリカで誕生したという説もあります。そこには、1874年と具体的な年が出されています。この年、トム・コリンズという名前がニューヨークで野火(のび)のように広まったいう話なのです。
それは、あるプラクティカル・ジョーク(いたずら)の流行が起因しています。そのジョークとは、ある人間が仲間に向かって「トム・コリンズという男がお前の悪口を言い触らしている」と言って、激怒したその仲間にトム・コリンズの居所を探し出させようとするもの…。
しかし、このトム・コリンズは実在の人物ではありません。現代で言うなら、一時SNSでも火がついた「バード・ボックス・チャレンジ(目隠しをして周囲を歩き回るという行為)」のようなものと言っていいでしょう。Netflixの代表作とも言える、サンドラ・ブロック主演の映画『バード・ボックス』でその恐怖が表現されています。
当時このいたずらは、"the Great Tom Collins Hoax of 1874(1874年のグレート・トム・コリンズ・ホウクス)"と呼ばれるようになります。
するとその2年後である1876年、当時全米随一のバーテンダーと称されていたジェリー・トーマス氏の著したカクテルブック『How To Mix Drinks or The Bon-Vivant’s Companion』の再版版において、この英国生まれの「トム・コリンズ」のレシピを加え、アメリカで初めて紹介したというもの。結果はこのとおり、アメリカ大陸でも人気のカクテルとなったわけです。
さて皆さんはどちらを信じますか? いまとなっては正解はわかりません。ですが、この談義は何度繰り返しても、いい酒の肴になることでしょう。
◇こんな「ジン カクテル」もおすすめ
トム・コリンズのほか、トラディショナルなジンベースのカクテルを探しているのであれば、他にもおすすめのカクテルはあります。
まずジン・フィズは、トム・コリンズとほぼ同じ材料でつくるカクテル(ジンとレモンジュースをシェイクし、グラスにそっと注ぐというともの)です。その他、スロージン・フィズ、ラモス・フィズ、シルバー・フィズ、グリーン・フィズといったバリエーションもありますので、お好きなものを試してみてください。
さらにジンと柑橘類、それにソーダを使う昔からあるカクテルには、ジン・リッキーやシンガポール・スリングといったものもあります。そして当然、ジン・トニックもあります。このカクテルのためには、自分好みの質のいいトニックウォーターを見つけることが肝心となりますので。
Source / Esquire US
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。