ドナルド・トランプ大統領は2019年10月26日(米国時間)、「今しがた極めて重大なことが起こった」ともったいぶったツイートを投稿しました。

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その後、トランプ氏は2019年10月27日朝、過激派組織イスラム国(IS)の指導者であるアブー・バクル・アル=バグダーディー氏が米軍の強襲によって、シリアの隠れ家で死亡したというニュースを生々しく伝えました。

「米兵は素晴らしかった。私は作戦の大部分をこの目で見たんだ」と、トランプ氏はコメントしています。トランプ氏によれば、この作戦で米軍の犠牲者は出なかった一方、バグダーディー氏側の戦闘員や仲間の多くが、彼とともに死亡したと言います。

トランプ氏は、バグダーディー氏が死亡したときの生々しい詳細を描写。「追い詰められたイスラム国の指導者が自爆ベストを爆破させ、3人の子どもを道連れに自殺した」と説明しました。トランプ氏は、「彼はすすり泣き、泣き叫びながら行き止まりのトンネルに逃げ込んだあと死んだ」と語っています。

彼は軍用犬に追われて、トンネルの行き止まりに追い詰められた。身につけていた自爆ベストを爆破させ、3人の子どもを道連れに自殺したんだ。爆風は彼の体を切断し、トンネルは崩落した。そして、検査の結果その遺体は間違いなく彼のものであることが直ちに判明した。なりふり構わず人々を脅そうとしてきた悪党は死ぬ間際、迫りくる米軍の恐怖に縮み上がり、パニックを起こして怯(おびえ)えていた。

トランプ氏はバグダーディー氏について、「犬のように死んだ。臆病者のように死んだ」とコメントしています。

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ホワイトハウスのツイート内容: 
イスラム国のアブー・バクル・アル=バグダーディーに迫る米軍特殊作戦部隊を見守るドナルド・トランプ氏。 

48歳のバグダーディー氏はイラク生まれ。「ニューヨーク・タイムズ」紙によれば、2004年に米軍に逮捕された彼は、11ヵ月の収容中に過激な思想に染まり、アルカイダを凌ぐ強力なテロリスト組織をつくり上げることになったと言います。

トランプ氏にとって、今回の強襲は政治的にタイミングの良いものと言えるでしょう。トランプ氏は最近、シリア北部の米軍の撤退によりクルド人勢力を見捨てたことや、拘束されていたイスラム国戦闘員の逃走を招いたことで各方面から非難を受けていました。

「ニューヨーク・タイムズ」紙は、遺体がバグダーディー氏のものかを確認するための完全なDNA分析がまだ終わっていないことを伝えていますが、国防省関係者は「トランプ氏はこのニュースをすぐに公にせずにはいられなかった」と述べています。

ホワイトハウスは、今回の作戦を見守っていたトランプ氏らの写真を投稿。この画像は、ウサマ・ビンラディン氏殺害作戦時にピート・ソウザ(当時のホワイトハウス専属カメラマン)が撮影したオバマ政権のシチュエーションルーム(ホワイトハウス内の作戦司令室)での写真を思い起こさせます。そしてトランプ氏は、バグダーディー氏の急襲をより重要な実績としてアピールしたいようです。「ビン・ラディンは大物だった。だが、今回が一番の大物だ」とトランプ氏は発言しています。

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カイル・グリフィン氏(MSNBC局のシニアプロデュ―サー)のツイート内容: 
こちらをご覧ください。トランプ氏はオバマ政権のウサマ・ビンラディン氏殺害作戦を過小評価しています、「ビン・ラディンは世界貿易センターのテロまで『大物』にならなかったものの、バグダーディーはイスラム国を作り上げたから」という理由です。  

「フィナンシャル・タイムズ」紙の編集者を務めるエドワード・ルース氏は、トランプ氏が今回の急襲を説明する中で使った異常なほど生々しい表現について、「バグダーディーの体の切断に触れたおぞましい説明や、『イスラム国のテロリストたちは、神の強力な審判を逃れられないだろう』というような表現は、イスラム国が処刑を行うときの語り口と奇妙なほど重なるものだ」と指摘しています。

Source / Esquire US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です