• イギリスの会社StandardToiletが、利用者が5分以上座れないように傾斜をつけたトイレを開発予定だそうです。
  • 同社によると、便座についた傾斜が四頭筋に負担をかけ、利用者を早くトイレから追い出す効果があるのだとか…。
  • Twitterユーザーは、このニュースを聞いて怒りの声を垂れ流しました。

 StandardToiletというイギリスの企業が、13度傾斜のあるトイレを開発する予定だということです。設計者によると、この急な角度で四頭筋に負担をかけることにより、トイレに5分以上座るのをほぼ不可能にするのだそうで…。価格は約600ドル(約6万5000円)ほどとのこと。

 同設計事務所は、この傾斜したデザインにより、社員が就業中にトイレで過ごす時間を減らし、生産性をあげることで会社に利益をもたらすと考えています。

 「このメリットは主に、社員に対してではなく雇用主へ向けたものになります」と、開発者のマハビール・ジルさんはウェブメディアの「Wired UK」に話しています。「つまり、社員が時間つぶしにトイレに行く時間を効果的に減らすことによって、会社の経費削減となるわけです」ということ。

 StandardToilet社がウェブメディアの「Wired」に話したところによると、すでに役所や自動車修理工場などから問い合わせを受けているそうです。イギリスで効率的なトイレの使用を推進しているBritish Toilet Associationも、このアイデアに賛同しています。ジルさんは2019年7月に、この傾いたトイレの特許を申請しました。

 このトイレがネットで話題になるとTwitterユーザーたちは団結し、このアイデアを出した会社に怒りの声をあげました。

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 この傾いたトイレのことを、「ただの冗談ではないか」と思っているユーザーもいます。

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 ジルさんは、「このトイレは居心地が悪いだけで、健康被害をおよぼすことはない」とウェブメディアの「Wired」に話しています。しかし、この意見に反対する生理学者もいます。

 「非医学的な視点から言っても、これはめちゃくちゃです」と、カリフォルニア大学リバーサイド校の胃腸科医ジョージ・サッフォウリ氏は、『Popular Mechanics』誌に話しています。

 人間は、排泄行為ととても複雑な関係を築いてきました。「進化論的には人間は種として、しゃがんだ姿勢で排便するように進化したと考えられています」と、サッフォウリ医師。「しゃがむことで直腸と肛門の角度がまっすぐになり、便を出しやすくなるのです」と…。

 しかし、排便時に取るべき角度は、まだ大きな謎となっています。

 「座る角度が健康的な排便を促したり阻止したりする仕組みは、まだ解明されていません」と、サッフォウリ医師は言います。長年これを解明する多くの試みがなされましたが、そうひと筋縄ではいかないようです…。

 2011年、「ピンチだった」というユタ州の一家が「スクワティ・ポティー」という洋式トイレ用の足置きを開発しました。洋式トイレに座りながら足を上げることによって、しゃがんだ姿勢を再現できるというものです(サッフォウリ医師によると、スクワティ・ポティーの長期的効果を調べた科学的研究はまだないそうです)。

 サッフォウリ医師は、「この傾いたトイレの角度がもたらす小さいメリットがあるとすれば、いぼ痔の患者に優しいということだ」と話します。

 「胃腸科医と大腸外科医は、痔の患者には長時間トイレに座らないようにアドバイスするのが一般的ですから…」とサッフォウリ医師。これは長時間トイレに座ることで、痔を悪化させる可能性があるためのようです。

 興味深いことに私たちの体は、内分泌学的な問題に陥らないように予防機能を備えています。私たちが制御できる外側ではなく、肛門の内側に内肛門括約筋というものがあり、ある物質を分泌して出てくるのが屁なのか便なのかを分析し、動きを調節しています。

 排便に関して、肩の荷が降りるような安心感を感じる人も多いでしょう。2017年にウェブメディアの「The Atlantic」が発表した調査によると、私たちは自宅で排便したほうが快適に感じるそうです。

 また、排便は脳幹から結腸まで伸びている迷走神経を刺激し、ほんわかした気持ちにさせてくれます。この感覚に、陶酔感を意味する「ユーフォリア」という単語と掛け合わせて、「プーフォリア」とある胃腸科医は名づけたそうです。

 しかし残念ながらStandardToilet社のトイレでは、この「プーフォリア」は長続きしなさそうですね…。

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Source / POPULAR MECHANICS
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。