父親になった男がつく、8つの嘘
大人になれば…特に子供をもつ父親ともなれば、自然とさまざまな嘘をつかなければいけない状況になるでしょう。すでにお子さまをおもちの方なら、ご理解いただけるはずです…。
―とはいえ、その嘘にもいろいろあります…。
たとえば自分の子供がチョコを食べ過ぎていると気づいたのなら、チョコを隠したあとで「あ、チョコレートもうなくなっちゃったよ~」と言ったり…。ほかに今週は、子供にYoutubeを見過せすぎたかな?と反省したときには、「あ、今日なんかYouTubeは故障しているみたい~だから今観ることができないよ~」などと、こちら側に都合のいい状況をスルリと仄めかし、子供の教育のためという大前提のもと、ささやかな嘘をつくこともあるでしょう。
このように自分の子供たちに対して、教育のためという大義のもとつく嘘もあれば、自分を誤魔化すため、その延長上にあるモチベーションを高めるための嘘も多くなるものです。通常、人は最低でも8時間の睡眠が理想と言われているなか、4時間しか寝ていないところ「4時間も眠ったから、自分はもう大丈夫」などと、自らに言い聞かせたりする嘘、言ったことはありませんか⁉
ときには、その場で人からどう思われるかをコントロールするため、思わず大きな嘘をつく方もいるかもしれません。しかしながら、何が小さくて何が大きい嘘なのか? または小さな嘘は善であり、大きな嘘は悪なのか? 皆さんは、その住み分けなど曖昧なまま、嘘を言っていることでしょう。ただし、自ら罪の意識に苛まれるような嘘は絶対しないでください。それだけは約束を!
そこで今回は、嘘の中でも父親がよく言ってしまう、許せるけど放っておけない嘘を8つピックアップしました。選者は英国の大手新聞「ザ・ガーディアン」紙でエンターテインメント系の記事の執筆しているスチュアート・ヘリテージさん。彼は(ちょっと風変わりかもしれませんが…)アメリカ人の父親の立場から、実体験を踏まえた上での実例を話しています。内容も超個人的と言えるでしょう。ただし、参考にはあるのではないでしょうか(笑)。
嘘その1「我が子は、目に入れても痛くないほど愛している」
「自分の子供が生まれたとき、父親というものは今まで以上にポジティブな目的意識が芽生える」と、よく言われています。実際の世の中にも、そんな男性の経験談を聞かされたこともあるかもしれません…ですが、私の場合、実はそんな経験などしたことはなかったのです。現在、2人の子供の父親なのですが。
もちろん、2人の赤ん坊の出産を目の当たりにしたとき、私は彼らに愛を感じ、そして「守りたい!」という感情がこみ上げてきました。それは事実です。ですが、その感情はそれだけではないのです。他にも、さまざまな思いが複雑に混ざり合って成り立っていることにも気づいていたのです。
それは妻への心配であったり、自分の子育て能力に対する不安であったり、それが総合して「もう後戻りできない一生にわたる責任」といったことから生じる打ちのめされるかのような重み…。そうした要素が入り混じって、自らの手で抱いた瞬間にこの上ない愛しさがこみ上げてくるのではないでしょうか。
私自身、子どもたちを育て上げるということは、人生における使命であると考えています。務め上げるべきもの…それ以外の何ものでもない、と思っています。
嘘その2「妻は私の生涯の伴侶」
確かに私自身も最初は、「妻は生涯における伴侶だ」と強く思っていました。
しかし、わたしたちの間に2人の子供ができると…正直な話、子供たちに対してのほうが、妻よりもずっと愛を感じるようになってきたのです。
子供のほうがずっと可愛らしく、より幸せを感じ、見た目だって抜群に優れて見えるのですから…。だからといって妻に対して、「すまない!」といった感情に苛まれるわけでもありません。だって、彼女のほうもたぶん、私のことをまったく同じように感じているはずですから…。
仮にもし今夜、私の家が火事になったとしたら…。親である皆さんも、想像してみてください。私が妻を救い出すのは最後になるでしょう。妻だって、きっと同じように私をいちばん最後に救い出すに決まっています。
これを頭で想像するなら、そう簡単には納得できない感情かもしれません。とりわけ相手が、実際に愛している人間ともなればなおさらの話でしょう。私の妻は、かつて私のお気に入りの人物だったことは確かなのです。ところが今では、単に私が好きな大人の一人にすぎません。それでも十分、素晴らしいことかもしれませんね(笑)。
嘘その3「いいよ、プレイデートに行くのは大好きさ」
もちろん、私自身の個人的な思いを強く訴えています。そうです、私はプレイデート(子供たちを遊ばせるために、親が時間と場所を決めて会うデートのこと)というものは大の苦手です。
プレイデートというのは、よく知らない、よその子供の親と一緒にいなくてはならないものであり、まるでそれはノンストップのクレイジーな遊園地の乗り物のように思うのです。それに間違って乗ってしまったときには、惨めさに近い感情がこみ上げてくるのですから…。
さらにプレイデートに行けば、半日はつぶれてしまいます。しかも、まったくの他人と一緒に過ごさなくてはならないのです。この赤の他人と自分との唯一の共通点といえば…、たまたま同じ時期に子作りしたということだけなのです!
プレイデートは実際のデートと似ているとも言えます。ですが、セックスできる見込みもまったくない…。代わりに魂が抜かれてしまうような、どうでもいいような世間話を間抜けな相手としなくてはならないのです。おまけに2週間後には、それを再びしなくてはならないという連鎖。これには惨めで暗~い未来しか見えないのです(私には…)。
嘘その4「男は妊娠しないのでよかった」
これはいままで一度も口外したことがないことですが(なぜならこれを口にしたら、袋叩きにあうかもしれないと正直思うからです)、私は「妊娠したらどんなに素晴らしいだろう」と、密かに思っています。妊娠のすべてが素晴らしいとは、男性の私が言えることでもありません。ですが、それでも自分の体内で育つ自分の子供との、生命学的なつながりを実感できるということは、とても素晴らしいことではないでしょうか。
さらに子供が産まれる直前には、きっと罰当たりな言葉を何度も繰り返し口にことでしょう。ですが、そんな罰当たりな言葉を病院の中で叫んでも、誰も咎めることもないのです。妊娠するというのは、まるで夢のような世界だと感じているのが正直な思いです。
嘘その5「休暇が必要だ」
皆さんはこれから20年間、長い休暇をとることはきっとないことでしょう。もちろん、ときには飛行機に乗ったり、1週間にわたって家とは別の場所で暮らすことはあるかもしれません。
ですが、そんなものは休暇ではありません。家族もちになれば、どこにいようとも、毎日同じつまらぬ用事をこなすことになるのです。
休暇で旅行にいけば、やることが少し減るというだけ。2018年9月には、私の弟がバリで結婚式を挙げる予定になっています。他の友人・知人は、素敵な時間を過ごすでしょう。ですが、私は家にいるときと変わらぬ雑事に追い回されるでしょう。まだ小さな2人の子供を17時間も飛行機に乗せるのですから…。それを考えると、家にいるほうがよっぽどマシだと思ってしまうのです。
そう、父親には休暇は必要ありません。父親に必要なのは、鍵のかかる小屋なのです。
嘘その6「子供がいないなんて想像できない」
本当にそう思いますか? 私は、いつも子どもがいない姿ばかりを想像しています。
私が想像するのは、子どもがいない自分が「どれほど若々しい顔立ちをしているか? 」「どれほどほっそりしているか?」。そして、「髪の毛がどれほどたくさん残っているか?」といったことです。私のイメージでは、子どもがいなければ新聞を最初から終わりまで読み通すことができると思っています。
そして私の想像では、子どもがいなければ何もすることがありませんし、子どもがいなければ自宅のリビングルームがきれいに片付き、子どもがいなければとても静かで、時計の針の音さえ聞こえてきそうなリビングルームに座っていることができるのです。また、子どもがいなければ性的なアイデンティティももつこともできますから…。
もう一つ最後に言わせていください。子どもがいなければ、通りでトラクターやパトカー、消防自動車が走っていても、何も騒がなくていいのですから…。私は自分の子どもたちのことは大好きです。ですが、だからといって、いつも一緒にいてワクワクするというわけでもないのです。
嘘その7「父親になっても自分は変わらない」
これは大きな嘘です。これは往生際の悪い父親たちが口にする、悪あがきの雄たけびです。
「自分は以前と変らない」と、あなたは言うことでしょう。そして、「自分には父親以外の部分もある」と…。しかし、そんなことは戯れ言です。父親になったことで、私の場合はすべてが変わりました。物の見方も、洋服の着こなしも変わりました。集中力が以前より高まりました。そして、これまでなかったほど、自分の時間が貴重なものになりました。
以前は仕事が私のすべてでした。が、いまでは子どもを養うための単なる手段にすぎなくなりました…。子供ができる前の私は、はるか彼方の記憶となっているのです。なのですが…、私は今これまでで最高に幸せであることは確かです。なので、「過去へ戻りたい!」などと思うようなことは全くありません。
嘘その8「流し台におしっこなんか、したことはないよ」
正直、私は流し台におしっこしたことがあります。それは、我が家のヨチヨチ歩きの赤ん坊が20分もトイレを占拠し、私の方はもう我慢できないという状況でした。
それで私は当然、流し台におしっこしたというわけです。もし、あなたがそういう状況に追い込まれたなら、きっと流し台でおしっこするに違いありませんよ。お風呂場という意見と2分するかもしれませんが…(笑)。
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From ESQUIRE UK 原文(English)
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。