人気急上昇なバズワード、「マイクロ浮気」を解説
「マイクロ・チーティング(マイクロ浮気)」と呼ばれる、新たな形の浮気がオンラインを中心に話題になっています。これは問題のある行為なのでしょうか⁉
「マイクロ浮気」とは、どんな浮気なのか?
新しく恋人ができると最初の数カ月は、この上なく素晴らしいものです。
たとえば、付き合いたての彼女からのテキストメッセージの返信を待っている時間を想像してみてください。これほどドキドキする気持ちになることが他にあるでしょうか。ですが、付き合ってからしばらく経つと、この新鮮さも薄れ始めていきます。
そうなれば、実際に恋人以外の誰かと一夜を過ごすわけではないにしても、付き合い始めころのような高揚感を誰か他の相手に求めたくなることもあるかもしれません。
とはいえ、あなたがパートナー以外の相手と「いちゃいちゃしたテキストのやり取りをする」、彼女たちの「ソーシャルメディアの投稿に頻繁に『いいね』やコメントをする」、「インスタグラムの写真に関心あり気な絵文字を残す」といった行為をしていれば、それは「マイクロ浮気(micro-cheating)」となるのかもしれません。
このワードは「浮気というほどひどい行為ではないにしても、グレイゾーンとみなされる様々な行動や態度」を指すものなのです。
「マイクロ浮気」がイギリスで話題になっているのは、2018年2月から。このワードはすでに、多くの人々に「自分のパートナーがマイクロ浮気をしているのではないか」というパニックをもたらしています。しかし、男女関係の専門家でセラピストのリサ・ブレイトマン氏によれば、「このような行動は通常心配するようなものではない」と言います。
実際、パートナー以外の誰かとのちょっとした火遊びは、付き合っている2人の関係に好影響をもたらすこともあるそうですから…。
今回は、このような「マイクロ浮気」が無害な火遊びなのか? あるいは問題になり得るのか? を知るための方法を解説しましょう。
ほとんどの人々は何らかのマイクロ浮気を行っているよう。
ブレイトマン氏は「マイクロ浮気」という言葉について、「少し公平さに欠ける言葉」としています。
この概念の含む範囲を考えてみると、恋愛関係にあるほとんどの人々は、場合によっては何らかのマイクロ浮気を行っていることになります。でも、これは「浮気」とされるような異常なことではないのです。
「パートナー以外の誰かとの関係を妄想することは、男性にも女性にもあります。性欲のある人間として、他の人に魅力を感じるのは正常なことなのです」と、ブレイトマン氏は語ります。
「真剣な付き合いをしているからといって、他の誰かに魅力を感じることはできない、あるいは感じるべきではないと考えるのは間違いです(実際、2015年の英国の調査では、女性の46%、男性の42%が「性行為中にパートナー以外の誰かのことを妄想したことがある」という結果も出ています)」とブレイトマン氏。
さらに、パートナーにあらゆる「マイクロ浮気」をしないよう期待することも、まったく無理な話だと言います。
性に関する研究者のジャスティン・レーミラー氏はファッションブログ『The Cut』のなかで、このワードについて「パートナーが、自分たち以外には絶対に注意を向けないことを案に期待する感情を表すもの」とし、「このようなポジティブさは、恋愛に関する不健全で非現実的なアプローチを象徴しています」と語っています。
また、レーミラー氏は「パートナー以外の人々と親密な友情関係を築くことは、自分のメンタルヘルスや幸せにとっても重要なことで、パートナーとの関係をさらに深めることにもつながり得ます」、とも指摘しています。
ですので、あなたが同僚と大好きな犬のパグやドラマ『ウォーキング・デッド』の話で盛り上がって仲良くなったとしても、一線を超えるような方向に進まない限り、罪悪感を覚える必要はまったくありません。映画『恋人たちの予感』が何と言おうと、魅力を感じるかもしれない誰かと友だちになることは問題はないのです。
何をマイクロ浮気とみなすかが、とても重要。
何を「マイクロ浮気」とみなすか? それはカップルによって、まったく異なることも重要な点です。
あるカップルにとっては、キュートな同僚に笑顔の絵文字がたくさん入ったテキストメッセージを送ったり、誰かのインスタグラム投稿を「ディープ・ライク(昔の投稿を遡ってLikeすること)」したりといったことが、パートナーを激怒させる可能性もあるかもしれません。
ですが、このような行動をまったく気にしないというカップルもいることでしょう。
性科学者でポッドキャスト番組「Sex With Dr. Jess」のホストでもあるジェシカ・オライリー医師によれば、こういった行動を十把ひとからげに「『マイクロ浮気』とみなすのは、あまりにも大雑把な一般化だ」と言います。
「確かに、こういった行動のいくつかは問題になり得ますし、パートナーとの関係に緊張をもたらすこともあります。ですが、緊張自体はあなたの行動が不適切であるということを示すものではありません。『相性』や『浮気をしない』といったことは、主観的な概念なのです。重要なのは、そういった行動に対してあなたがどう感じるかです」とオライリー医師。
自分のパートナーが、新たな同僚の格好良さやジョークの面白さについて、しつこいほど話しているとすれば、わずかな不安を感じるのは普通です。とはいえ、オライリー医師はこのような不安について、「建設的な方法で解決する必要がある」としています。
「自分の不安の原因を探し、それが自分自身の問題であれ、自分のパートナーの問題であれ、これに対処するのです」とオライリー医師。
パートナーのテキストメッセージやソーシャルメディア上のやり取りを追わずにはいられないという人は、そもそもなぜそんなことをしているのかを、自身に問いかけてみるべきです。
パートナーのオンラインでの交流を監視することは、コントロール・フリークに陥りかねない危険な兆候です。オライリー医師は「このような態度は、二人の関係にとって不健全なものになり得ます」としており、「パートナーのフィードやタイムラインを執拗にチェックするのはやめ、なぜそれが自分にとって重要なのかを自問してみてください」と語っています。
「インスタグラムで元恋人の名前を何度も検索してしまう」という人や、「同僚にネットで見つけた可愛いネタをしょっちゅう送ってしまう」という方自身も、同じように自分の行動を省みる必要があるでしょう。
パートナーに対して、オープンで正直であることが重要。
「なぜそのような行動をするのか? それは、あなたが密かに親密なつながりを求めているからか? 彼らが、あなたの人生で重要な人物だから連絡を取り続けるのか? そこにある動機や感情をパートナーに正直に伝えましょう」とオライリー医師。
結局、パートナー以外の誰かのことを性的な目で見ることと、実際にこういった感情を行動につなげることには、大きな隔たりがあります。
たとえばあなたが、「友達のガールフレンドとキッチンテーブルで性行為をする」という妄想を思い浮かべてしまったとしましょう。そんなときは、パートナーに正直に伝えるべきなのです(ただし、具体的に名前を挙げることは避けましょう。複雑な問題に発展しかねませんから)。性的な妄想を共有すれば、現実世界でパートナーと一緒に挑戦してみるという可能性も生まれるかもしれません。
「性的な妄想を共有することは、カップルにより親密な関係をもたらし、隠された欲望を満たす手助けになります」とブレイトマン氏は語ります。「2人で妄想することで、ますます親密になれるのです。妄想は2人の性的欲求を高め、より深い性的つながりをもたらします」とブレイトマン氏は語ります。
「マイクロ浮気」は健全で正常なだけでなく、「実際はとても素晴らしいものだ」という認識に変わってきたかと思われます。恋愛の専門家でニューヨークの心理療法士であるアリソン・アブラム氏は、「何より、パートナーに対してオープンで正直であることが重要です」と語ります。
「感情的な親密さはオープンさやコミュニケーションを通じて養われ、維持されるものです。お互いに対してオープンになるほど、信頼関係が強まるのです」と語るのはアブラム氏。
重要なことは、すぐにでも一線を引くことです。パートナーがしていることが、あなたにとって耐えられないことなら…オープンで正直になり、相手にもそうなってもらいましょう。このためには、常に2人で話し合う時間を取ることが必要となります。あなたは、このような対話の時間を通じて、2人がますます親密になれることに気づくことでしょう。
From ESQUIRE UK 原文(English)
TRANSLATION BY Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。