[目次]

▼ 体幹を構成する筋肉とは

▼ 体幹を鍛えるべき理由

▼ 体幹を使いこなす方法

▼ 体幹を強化するにはどうすればよいですか?

▼ 体幹トレーニング22選

▼ 体幹トレーニングは腹部の脂肪を減らしますか?


デッドリフトが頭打ちになったり、走っているときに肩が前に丸まったり…。あるいは、何度も机に突っ伏してしまったことがあるかもしれません。そんなふうに体幹を鍛える理由は人それぞれですが、私たちが選んだ最高の体幹トレーニングでは、筋力と安定性、そしてシックスパックを手に入れるためのアプローチができます。

ただし、体幹トレーニングは筋肉だけの問題ではありません。

ベッドから起き上がる瞬間から就寝するまで、「体幹を使わない時間は一瞬もない」と言えることは体感しているはず。そこで、この記事では「エニタイムフィットネスUK*1」のフィットネス責任者であるマービン・バートンにアドバイスをいただき、80分間のラグビーに耐えられるほどの…、あるいは、単にスーパーで買った物を持ち帰れるように…といった、広範囲の目的に則して体幹の鍛え方を紹介しましょう。

「体幹は、オンとオフを自分で切り替えられるものではありません」と、バートンは言います。

「体幹は常にオンの状態です。私があなたに『体幹を使わずにベッドから起きろ』と言ったところで、そんなことはできません。くしゃみや咳、笑うたびに体幹が収縮するので、どんな作業でも十分な体幹の強さが必要不可欠と言えるのです」

体幹を構成する筋肉とは

上腕二頭筋や上腕三頭筋と腕の関係のように、腹筋と体幹の関係を考えてみましょう。前者は筋肉であり、後者は複数の筋肉で構成される部位です。

「体幹を鍛えるとは、身体の中心部の周りで起こっていることに注目することです」、バートンはそう言います。また、「一方、腹筋トレーニングをしたいという人は、胃の前面の筋肉のことを指していると理解できます」とのこと。

体幹
Science Photo Library - SCIEPRO

体幹の筋肉は首から骨盤まで伸びており、以下のような筋肉が含まれます。

  • 腹横筋:体幹の前面と側面を包み込み、骨盤を安定させます。
  • 内腹斜筋と外腹斜筋:肋骨から骨盤まで斜めに伸び、体幹を回旋させる働きがあります。
  • 腹直筋:一般的に「シックスパック」と呼ばれる筋肉。身体を前屈させるときに使います。
  • 多裂筋:背骨を支える背中の筋肉。
  • 脊柱起立筋:体幹を伸ばして真っ直ぐ立つのを助ける背筋。

体幹を鍛えるべき理由

けがの予防からスポーツにおけるパフォーマンスの向上まで、体幹を鍛える理由は数多くあります。バートンと最新の科学的知見の助けを借りて、その一部をさらに詳しく見ていきましょう。

◇強い体幹は姿勢を改善します

人間の筋パフォーマンスに関する国際ジャーナル『Isokinetics and Exercise Science』誌の研究*2では、体幹トレーニングが身長を少し高くするのに役立つことが示されました。この研究では、「週に3回、1時間のピラティスセッションに2カ月間参加した男性は、姿勢安定性のテストで大幅な改善が見られた」と報告しています。

◇強い体幹は他の部位の筋肉を強化するのに役立ちます

大胸筋を鍛えることに興味がある一方で、体幹は二の次という人もいるでしょう。ですが、どちらか一方だけでは不十分です。「胸を大きくしたいのに体幹が弱い男性は、前かがみになったり、肩が丸くなったりしがちです」と、バートンは言います。体幹エクササイズはその丸みを修正し、あなたが夢見ていた胸を手に入れるのに役立ちます

筋力を強化したい場合はデッドリフト、スクワット、ベンチプレスなどの複合種目に重点を置くのが効果的です。これらの動作を正しいフォームで行うには、強い体幹が不可欠と言えます。体幹が強ければ身体全体でより大きな力を生み出すことができ、背中を安全に保ちながら、より多くの反復回数で重い重量を扱うことができるでしょう。

トレーニングをする男性
Getty Images

◇強い体幹は他のスポーツでも役立ちます

オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターの研究者による研究*3では、多くの人の体感深部の筋肉は本来あるべきほど強くなく、それが弱いランナーは腰痛を発症するリスクが高いことがわかりました。

ランナーを悩ませる腰痛は、体幹の弱さによって引き起こされるフォームの乱れが原因で、それには明らかなデメリットもあります。バートンは次のように言います。

「ランニング中に前かがみになると、肺に取り込める酸素の量が減ります。走っている人が頭を垂れ、肩を丸めているのを見たら、コーチングのポイントは『頭を上げて肩を後ろに引くこと』です。目指すのは、肺により多くの空気を取り込むことです。筋肉は酸素なしでは機能しません。筋肉に酸素を供給し、体を直立させるシステム全体が体幹に依存しているのです」

強い体幹があれば、より良いランナーになれるだけではありません。ほとんどのスポーツは体幹に依存しているため、パフォーマンスを向上させたい場合は、体幹トレーニングを取り入れる必要があると言えるのです。

athletic man doing the plank for abs and core
Paper Boat Creative//Getty Images

体幹を使いこなす方法

体幹を鍛(きた)えるエクササイズを知ることと、その体幹を適切に使いこなす方法を学ぶことは別の問題です。体幹の正しい使い方がわかれば、どんな筋肉を鍛えるにしても体幹を使えるようになるでしょう。

本質的に体幹を使うとは、お腹の上の中央にあるくぼんだ部位「みぞおち」に、強烈な一撃を受けることを想定して身体を固めるような感覚です。簡単そうに聞こえるかもしれませんが、それを無意識の動作に変えるのは簡単ではありません。バートンは、体幹を鍛える方法を学ぶための簡単なコツを以下のように考案しました。

「まず仰向けになり、膝を曲げ、足の裏を床につけます。背中を床に押しつけ、腰の下に手を滑り込ませてみてください。腰を少し押し下げて体幹の筋肉を緊張させ、手が通り抜けないようにします。この姿勢を6〜10秒間保持し、休憩してから3〜4回繰り返します」
「また上達するには、立った状態で筋肉を収縮してみてください。自分が何を感じるべきか? を理解すれば、体幹を収縮させて使うことの意味がわかりやすくなります。覚えておくべき重要なことは、臀(でん)部の筋肉、腹部、呼吸のすべてが一連の動きに関与する必要があるということです。収縮が強すぎて、収縮と呼吸を同時に行えなくなるようではいけません。

時間をかけて練習すればすぐに無意識の動作になり、正しい姿勢を保つのに役立ち、より優れたサポート、バランス、コントロール、強さを提供してくれるはずです」

体幹を強化するには
どうすればよいですか?

体幹を強化するには、トレーニングに以下のエクササイズリストから1〜3種目を取り入れる必要があります。これらを週に2〜3回、3〜4セット、8〜15レップ行ってください。

コツ:動きを変えて、さまざまな方向から体幹を鍛えましょう。

  • ランドマインローテーションのような回旋運動
  • パロフプレスのような反回旋運動
  • 腹筋トレーニングのような屈曲運動
  • スーパーマンのような伸展運動
  • プランクのような反伸展運動
  • サイドベンドのような側屈運動
  • シングルアームファーマーズキャリーのような反側屈運動

体幹トレーニング22選

(1)プランク
プランク をする男性


理由:体幹トレーニングなら、まずはプランクから始めましょう。前腕とつま先で体重を支えることを強いられるため、体幹を鍛えられる初心者向けの素晴らしい動作です。

方法:腕立て伏せの姿勢をとり、手ではなく前腕を床につけます。背中が真っすぐになっていることを確認し、腹筋と臀部に力を入れてください。腰を落とさないようにキープします。

バートンのひと言:このエクササイズでさらに負荷をかけたいなら、時間を伸ばして長く続けるという方法は考えないでください。代わりにプランクプルスルーを行って、動作にウェイトを加えることを検討しましょう。プランクプルスルーは、ハイプランクの姿勢で重りを左右に引きずるエクササイズです。

プランクを長時間続けると、体幹トレーニングを長時間行えるので体幹が強いと思われがちですが、果たしてプランクを2分間続けることにどんなメリットがあるのでしょうか? 実際は単に何かを長く続けるのが上手くなっただけで、意味がないのです。

一方、ウェイトと抵抗を加え始めると、短時間しかできないことに気づくでしょう。それこそが有益なのです。なぜなら、その動作をコントロールするためには、より多くの筋線維を動員する必要があるからです。

(2)グルートブリッジ
preview for glute bridge

理由:強い体幹には強力な臀筋が必要ですが、実は臀筋は見落とされがちな筋肉群です。臀筋を強化することは、現在そして将来の身体に、驚くべき効果をもたらすでしょう。

方法:仰向けになり、膝を曲げ、足の裏を床につけます。かかとに力を入れて腰をできるだけ高く持ち上げ、一時停止してから開始位置に戻ります。

バートンのひと言:プランクが体幹を鍛える優れた初心者向けエクササイズであることは周知の事実です。が、グルートブリッジはあまり注目されない傾向にあります。ですが、グルートブリッジはプランクと同様に重要です。臀筋は背中を支えるため、体幹を強くするためには臀筋は強くなければなりません。

体幹を強くするために最初に押さえておきたいのは、「グルートブリッジができるか」と「プランクができるか」です。この2つの動きを理解できたら、次は「それらの動作をどう応用できるか」という段階に進むことができます。

(3)デッドバグ
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理由:デッドバグは、初心者の体幹トレーニングに最適です。なぜならやり方を間違いにくく、自身の体幹の強さを安全にテストできる方法だからです。

方法:仰向けになり、膝が90度になるように曲げて足を上げ、腕を身体の上に伸ばします。片方の脚をかかとが床から2〜3cmの位置になるまで下ろして真っすぐ伸ばし、下ろした足と反対側の腕を床と平行になるまで下ろしましょう。開始位置に戻し、反対の脚と腕で繰り返します。

(4)フラッターキック
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理由:一見、簡単に思えるでしょう。ですが、体幹の強さに大きな違いをもたらす動作のもう1つが、このフラッターキックというわけです。脚を伸ばしてかかとを浮かせることで体幹の安定性を鍛えることができるうえに、腰に安全な姿勢で行えます。

方法:仰向けになります。両脚を伸ばして、腰が反らないように気をつけながら左脚を右脚より高く上げ、右脚を上げながら左脚を下ろします。常に動作をコントロールしているようにしてください。

(5) スイミングスーパーマン
スイミングスーパーマン

理由:水中で泳ぐことは体幹に良い効果をもたらしますが、それは陸上でも、腰と背中の上部を伸ばせば大臀筋と体幹を鍛えることにつながりいます。最後に泳ぐ動作を加えることで、エクササイズ全体の強度を少し上げることができるのです。

方法:まずはうつ伏せの姿勢になり、足と腕を床から少し浮かせた状態で腹筋と大臀筋に力を入れます。次に両手を顔の近くまで引き寄せ、肘を曲げます。そこから、水泳の動作を始めます。両腕を真っすぐに伸ばしながら身体の両側に広げ、再び顔の前に戻してスタートポジションに戻ります。

エクササイズ全体を通して、体を床から浮かせた状態を維持することが重要です。

(6)TRXロー
trxロー

理由:サスペンショントレーナー(自重と重力を負荷として利用するトレーニングシステム)は、ジムであまり人気がないかもしれません。ですが、体幹にとっては非常に重要です。体幹に負荷をかけずに、これらの器具を使ってみてください。さあ、勇気を出して挑戦しましょう。

方法:ハンドルが胸の高さになるようにサスペンショントレーナーをセットし、足を肩幅に開いてハンドルを握ります。腕が伸びるまで後ろに傾き、胸を引き上げ、肩甲骨を寄せながら肘を身体に近づけます。胸と手が触れ合うはずです。動作の頂点でポーズをとり、腕が再び伸びるまでゆっくりと下ろします。

バートンのひと言:体幹を収縮させずに宙吊りの姿勢になることはできないので、サスペンショントレーニングが好きなのです。

(7)ドラゴンフラッグ
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理由:この動作では、腹筋よりもはるかに多くの筋肉を使います。上半身、股関節屈筋、臀部、腰の全てが身体を支える必要があるため、体幹を鍛えるのに最適な動作です。

方法:仰向けになり、ベンチを頭の後ろで持ちます。膝を曲げて足を天井に向かって蹴り上げ、背中と腰をベンチから離します。ゆっくりと身体を元の位置に戻します。この動作を繰り返します。

バートンのひと言:重力に逆らってコントロールしながら身体を下ろしているだけなので、重力のもとで異常に身体を伸ばしていることになります。脚を使った動作をするとき、基本的に体幹が強くない人は前傾姿勢になり、腰が痛くなりやすい傾向にあります。それに対するアドバイスは、膝を少し曲げて股関節屈筋への圧力を和らげることです。そうすることで、骨盤が引っ張られる力が軽減されるのです。

(8)ロシアンツイスト
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理由:ボクシング、ボート、ランニング、カヤックなど、さまざまなスポーツでは回転運動をマスターする必要があります。したがってロシアンツイストのような動作を取り入れれば、体幹の強度が向上し、他のスポーツで見られる動作を再現するのにも役立ちことになるでしょう。

方法:ウェイトプレート、ダンベル、ケトルベル、またはサンドバッグを持ち、腕を伸ばして脚を床から離して座ります。上半身をすばやく左右にひねります。

(9)バーベルロールアウト
バーベルロールアウトをする男性

理由:ロールアウトは体幹全体に負荷をかけ、体幹を使いますが、動作が進むほど難易度が上がる点に注意してください。

方法:バーベルに5kgのプレートをセットし、肩幅のオーバーハンドグリップで、バーを握ります。肩をバーベルの真上に置き、ゆっくりとバーベルを前方にロールアウトします。ポーズをとってから逆の動作を行います。無理のない範囲までロールアウトしますが、腰を無理に下げる必要はありません。

(10)メディシンボールスラム
preview for Medicine Ball Slam

理由:このエクササイズは上半身全体に負荷をかけますが、私たちにとってより重要なのは、正しいフォームで行うことで体幹に激しいトレーニングを課すことです。

方法:膝を軽く曲げて立ち、腕を伸ばして頭上にメディシンボールを持ちます。腰を前に曲げ、体幹の筋肉を使ってボールを約30cm前方の床に叩きつけます。前のめりにならないよう、腕をしっかり伸ばしましょう。跳ね返ってくるボールをキャッチし、この動作を繰り返します。

バートンのひと言:ほとんどの人は、これを心肺機能の向上のために行っていますが、私はこれが体幹にとって素晴らしいエクササイズだと考えています。人々が激しく速いテンポでボールを持ち上げたり叩きつけたりし始めると、動作のスピードが上がり、可動域が狭くなる傾向があります。

そのため体幹への負荷を増やすためには、下に投げるときに、ほとんどの人がしゃがんだ姿勢になります。ですが本来は、筋肉が伸びた位置まで行く必要があるので、ボールを高く持ち上げなければなりません。

私がクライアントと一緒にこのトレーニングをするときは、リバースランジ(片足を後方に出して腰を落とす姿勢)からボールを叩きつけるようにしています。なぜなら、そうすることで後ろに下がり、骨盤が前に傾いて腕が頭上に上がるようになるから。まず筋肉を伸ばしてから、爆発的な収縮を行うので、お腹に大きな負荷がかかるのです。

(11)ケーブルウッドチョップ
preview for Woodchop cable

理由:ほとんどのスポーツや日常生活における重要な動作「回転動作」を再現するのに、床に座るのは正しいやり方ではありません。ケーブルウッドチョップは、体幹を強化するそんな回転運動を取り入れるのに最適な方法であり、立った状態で行ってこそより多くの筋肉を鍛えることができるでしょう。

方法:ケーブルをプーリー(滑車)の最も高い位置に設定します。ケーブルの横に立って片手でハンドルを握り、タワーから離れます。足を肩幅に開いて立ち、もう一方の手を伸ばして同じハンドルを握ってください。腕を完全に伸ばした状態で、上半身を回転させながらハンドルを前膝まで引き下げ、後ろ脚を軸にして膝を曲げます。ハンドルをコントロールしながらゆっくりと、スタートポジションに戻します。

バートンのひと言:可能な限り、立った状態でエクササイズを行うようにしてください。なぜなら、皆さんが床に座っている時間はかなり短く、また床に座ってしまうと明らかに回転動作に関与する関節の数が減るからです。日常生活では歩く際には全身を動かす必要があります。

(12)ハンギングレッグレイズ
preview for Hanging leg raises

理由:腹筋を鍛え、体幹の強さと安定性を高めたいなら、ハンギングレッグレイズに匹敵する動作はほぼありません。

方法:懸垂バーを握り、ぶら下がります。脚をまっすぐにして、骨盤を少し後ろに引きます。体幹に力を入れ、太ももが胴体に対して垂直になるまで脚を上げます。力を入れたままゆっくりと下ろし、開始位置に戻ります。

バートンのひと言:懸垂バーから脚が離れれば離れるほど、骨盤を引っ張る効果が高くなります。それができる筋力があるならそれでいいのですが、ほとんどの人はそうではないので、膝を軽く曲げ、つま先を少しだけ内側に向けた状態で行うといいでしょう。

なぜなら、その内旋によって臀部が伸びるからです。これにより臀部のサポートがさらに強化され、股関節屈筋への負荷が軽減されます。本質的に人々がハンギングレッグレイズで苦労するのは、股関節屈筋が硬直して骨盤を引っ張っているためです。

(13)ターキッシュゲットアップ
preview for turkish get up

理由:安定性、機動性、バランス、強さ。ターキッシュゲットアップはそれらを向上させます。

方法:横になり、右肩のすぐ上にケトルベルを持ちます。右腕を伸ばしてケトルベルを真上に押し上げ、左腕は身体の横に伸ばします。右膝を曲げて身体全体を半分ひねり、右足を床につけます。立ち上がる間、右腕は伸ばした状態のままでケトルベルから目を離さないでください。ゆっくりと逆の動作を行い、横向きに戻ってからケトルベルを肩の位置まで下ろします。

バートンのひと言:ターキッシュゲットアップは一見シンプルに思えますが、注意が必要です。つまり、頭上でウェイトを安定させるのは信じられないほど難しく、床から立ち上がるまでの動作とは全く別の領域になります。強さだけでなく、バランスや調整など、体幹の他の側面にも注目しなければならないからです。

関節の位置など、自分が今何をしているのかを認識する必要があるのです。これらの全てが重なり合うことで、筋肉や神経系にとんでもないストレスをかける状態に置かれることになります。これが高度な動作である理由です。

(14)Lシット
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理由:Lシット(L字座り)は初心者向けではありませんが、できる人にとっては、この動作が正中線(人間の前面又は背面の中央を縦にまっすぐ通る線)の安定性と強さを示すことになります。

方法:手を床につけ、指を前に向け、腕を完全に伸ばし、脚を床と平行になるまで上げます。そして、その姿勢を保ちます。

(15)ベアクロール
ベアクロールをする男性

理由:ジムでクマのようにハイハイするのは、少し馬鹿げているように感じるかもしれません。ですが、全身の筋力、バランス、協調性を鍛えることができます。奇妙な目で見られるかもしれませんが、いずれはきっとあなたも納得してくれるはずです。

方法:手のひらを床につけ、つま先立ちで膝を床から離し、背中を平らにします。ここから手とつま先を使って前進し、脚と膝を手よりも少し大きく蹴り出してスピードを出します。次に、手とつま先を後ろに押してスタート位置に戻ります。

(16)ホローロック
ホローロックをする男性

理由:ホローロックは体幹全体を鍛える高度なエクササイズです。身体全体で姿勢を保つことで、腹筋、腹斜筋、脊柱起立筋がさまざまな動きに抵抗しようと奮闘することになります。

方法:床に仰向けになり、背中を床に押しつけて体幹に力を入れます。脚と肩を床から離し、腕は頭上に伸ばします。背中の位置を維持し、体幹を使って上げられる高さまで脚を上げてください。背中が反り始めたら、脚を少し下げます。身体の位置を固定し、勢いを利用して前後に身体を揺らします。

この動作は膝を曲げて腕を前に出すことで、元に戻せます。

(17)プランクプルスルー
プランクプルスルーをする男性

理由:プランクプルスルーは、ウェイトを左右に動かす際に体幹を固定することで、体幹全体に効果を発揮します。プランクをさらにレベルアップさせたい場合における、素晴らしいトレーニング方法です。

方法:ダンベルを片方の手のひらの横に置き、ハイプランクの姿勢から始めます。ダンベルがある方とは反対側の手を身体の下に入れ、ダンベルを身体の下に引き込みます。セット全体を通して腰の位置を維持し、身体を一直線に保ちます。

(18)レネゲードロウ
レネゲードローをする男性

理由:レネゲードロウは体幹エクササイズに加えるのに最適で、体幹トレーニングに関して強力な効果を発揮します。一度の動作で背中、腹筋、腹斜筋、脊柱起立筋を強化します。

方法:両手にダンベルを持ち、ハイプランクの姿勢から始めます。体重を左手に移し、右手のダンベルを腰に向かって引き上げます。軽くポーズをとり、コントロールしながらダンベルを下ろします。これを左右交互に繰り返します(左右で1レップ)。

(19)コペンハーゲンプランク
コペンハーゲンプランクをする男性

理由:メンズヘルスのエリートコーチのガス・バス・トステスによれば、「コペンハーゲンプランクは完璧なトレーニングです。それは、内転筋と股関節の内側に主に焦点を当てているという点で理想的なのです。これらはスクワットや脚のエクササイズにとって、非常に重要な安定筋ですから」ということ。

方法:床に座り、上の脚をベンチの上に乗せます。もう一方の脚をベンチの下に置き、腰を上げてサイドプランクの姿勢をとります。脚を閉じたままにするために内もも(内転筋)を締め、身体を完全に一直線に保ちます。

(20)ニーリングランドマインツイスト
ニーリングランドマインツイストをする男性

理由:腹斜筋と背骨の強化に重点を置きたい場合は、ランドマインツイストをプログラムに追加しましょう。ランドマインは多目的な器具であり、体幹エクササイズのバリエーションを増やすのに最適です。

方法:両手でバーベルを頭上に持ち、膝立ちの姿勢から始めます。腰を前に向けたまま、上半身を片側にひねり、弧を描くようにバーベルを動かし腰の位置に合わせます。バーを頭上まで戻し、反対側でも同じ動作を繰り返します。

(21)パロフプレス
パロフプレスをする男性

理由:パロフプレスは、体幹を強制的に回転に対して抵抗させる(アンチローテーション)ことで、体幹を活性化します。アタッチメントのバンドまたはケーブルは、上半身を引っ張り、機器の方向にねじろうとします。あなたのやるべきことは、上半身を完全に真っ直ぐに保つことです。これによって、腹斜筋、腹直筋、腹横筋に重点を置いた強化を目指すことができるはずです。

方法:まず、バンドをセットするか、ケーブルマシンを腰の高さに調整するかをします。バンドまたはケーブルのハンドルを両手で持ちます。テンションを感じるまでアタッチメントから数歩離れて、横向きになってください。

バンドまたはハンドルをへその位置に合わせ、体幹をしっかりと締めます。息を吐きながら拳を前方に押し出し、お腹から遠ざけます。そのまま1カウントしてからスタートポジションに戻り、同じ動作を繰り返します。

(22)シングルアームファーマーズキャリー
シングルアームファーマーズキャリーをする男性

理由:側屈に抵抗して体幹を鍛えるには、シングルアームファーマーズキャリーをトレーニングに取り入れましょう。重いダンベルやケトルベル、あるいはバーベルを使えば握力も鍛えることができます。

必ず中程度から重めの重量を選ぶようにしてください。毎週の買い物より少し重いくらいでないと、効果は期待できませんので。

方法:デッドリフトでウェイトを持ち上げます。20~30m前方に早歩きで進んで方向転換をするか、ウェイトを下ろして反対を向くかでデッドリフトを行います。身体が揺れないよう脇の下にスペースをつくり、肩の高さを均等に保つことで片側に傾かないようにしましょう。


体幹トレーニングは腹部の脂肪を減らしますか?

体幹トレーニングは中央部の筋肉を鍛えるので、引き締まった体づくりをするにあたって非常に重要です。ですが、他の生活習慣を変えずに、体幹トレーニングだけで腹部の脂肪を減らすことはあまり期待できません。全身の体脂肪減少に寄与する主な要因は、栄養の選択と定期的な運動によるエネルギー不足です。

『Examine』(インターネット上の栄養とサプリメントの研究に関するデータベース)の記事*4によると、「運動だけで大幅な体重減少を引き起こすのは非効率的ですが、運動は減量の達成と維持のために食事制限を補助するうえで有利に働きます」とのこと。

体脂肪量の減少は体幹トレーニングのような一貫した運動習慣と、食事制限によって達成できるものです。ただし、目標であるお腹の部分だけ脂肪が減る(スポット減量)という保証はありません。

ヴロツワフ健康スポーツ科学大学が発行する『Human Movement』誌に掲載された研究*5では、「局所的な筋力トレーニングは、局所的な脂肪組織の蓄積に影響を与えなかった。つまり、対象集団の特徴やトレーニングプログラムの性質に関係なく、部分的な減量は見られなかった」と結論づけています。

スポット減量に関する一般的な考えは、おそらく人気を求めるインフルエンサーや広告収入の増加に関心のある施術提供者による、希望的観測と都合の良いマーケティング戦略に由来すると考えられます。

したがって、腹部の脂肪を減らすことが目標なら、栄養摂取量のコントロールと、楽しみながら毎日の運動量を増やすことに重点を置いてください。

[脚注]

*1:UKのエニタイムフィットネスの公式サイト

*2:研究者向けのソーシャルネットワークサービス「ResearchGate」に掲載されている「Effect of core stability training using pilates on lower extremity muscle strength and postural stability in healthy subjects」を参照

*3:科学ニュースサイト「ScienceDaily」に掲載されている「Study uncovers potential key to preventing back pain in runners」を参照

*4:「Examine」に掲載されている「How does exercise affect weight loss?」を参照

*5:「Human Movement」に掲載されている「A proposed model to test the hypothesis of exercise-induced localized fat reduction (spot reduction), including a systematic review with meta-analysis」を参照

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Translation / Kotaro Tsuji
Edit / Satomi Tanioka
※この翻訳は抄訳です

From: Men's Health UK