この記事をざっくり説明すると…

  • トヨタは、欧州で電気自動車の中型SUVを近日中に発表する予定です。
  • 北米にも電気自動車を投入する計画で、2020年代初頭には固体電池を搭載したEVを投入する見込みとなっています。
  • トヨタは、優れたハイブリッド技術のおかげで、EVの世界に焦って飛び込むことなく、目標とする排出ガス基準を達成することができたと述べています。

 これまで長い間、トヨタは電気自動車(EV)への参入を見送っていました。

 もちろんトヨタですから、技術不足がその原因ではありません。それはバッテリー価格の高止まりや航続距離の制約を挙げ、売り上げが伸び悩むとの見通しをしていたからと推測できます。また、米消費者で言うなら、完全電動車よりハイブリッド型の購入を検討する傾向が強いという市場傾向が挙げられます。その点、トヨタには世界初の量産ハイブリッド車として「プリウス」があります。1997年に発表して以来、ハイブリッド車の王者であり続けてきたのですから…。

 水素を燃料とする「MIRAI(ミライ)」のような燃料電池車にも投資しており、レクサスブランドからは、初のEV市販モデルとして「UX300e」も発売してはいます。そして事実上、世界的にEVの販売台数が増加していることから、ようやくトヨタも自社のポートフォリオを拡大する準備が整ってきたようです。

▼「MIRAI」のブランドムービー

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
【トヨタ MIRAI】ブランドムービー
【トヨタ MIRAI】ブランドムービー thumnail
Watch onWatch on YouTube

▼「UX300e」の開発ストーリー

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
UX300e Development Story
UX300e Development Story thumnail
Watch onWatch on YouTube


トヨタの新EVは「e-TNGA」搭載の中型SUV

 2020年12月7日(現地時間)、トヨタは欧州向けの電気自動車となるSUVを開発したことを発表しました。この電気自動車は、トヨタのモジュール式EVプラットフォーム「e-TNGA」をベースにした中型SUVであり、今後数カ月の間に発表される予定となっているとのこと。

 アメリカ市場に関しては、米国の自動車メディア「Automotive News(オートモーティブニュース)」は先週の段階で、北米トヨタの営業責任者であるボブ・カーター氏が「EVが米国にやってくる」と述べたことを報じています。そこでは、どのブランドが最初にEVプラットフォームを搭載するかはわかりませんでした。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
2025年までにEVを、世界で年間550万台販売する計画を明らかに

 EV事業企画室の室長を務め、改名後のトヨタZEVファクトリー(電気自動車や燃料電池車の開発や生産の人材を集め、次世代車向けに設立された専門部署)の副本部長に就任してEV開発を指揮する豊島浩二氏は、欧州市場向けプレゼンテーションの中で「2025年までにEVを世界で年間550万台販売する」という計画を明らかにしました。

 また同時期に、60モデルもの新型EVを投入すると述べています。この数字には、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EV、水素燃料電池車が含まれる模様です。

トヨタがEVのゲームチェンジャーになる可能性も

toyota ev
TOYOTA

 また豊島氏は、「トヨタは、2020年代前半に固体電池を使った量産型電気自動車を開発する」と発表しました。

 固体電池は、従来のリチウムイオン電池と同じサイズのパックを使用し、充電が早い上に航続距離が伸びるため、EVのゲームチェンジャー(それまでの業界や物事の状況・流れを一変させてしまう個人・企業・プロダクト・アイデアのこと)となるかもしれません。また、以前に「2025年に技術を完成させる」と発表していた同社の声明よりも、数年前倒しになる可能性もあります。

 トヨタがEV市場への参入を待っていた理由について、トヨタ・ヨーロッパのプロダクト&マーケティング担当ディレクターであるアンドレア・カルッチ氏は、次のように述べています。

 「トヨタが誇るハイブリッド技術のおかげで、欧州の厳しい排出ガス規制に対応することが可能だったため、われわれはEV市場への参入を見送っていました。しかし、ハイブリッドの成功は、他の電動パワートレインに必要な基盤を与えてくれました。そして、“そのとき”は確実に近づいています」

Source / CAR AND DRIVER
Translate / Esquire JP
※この翻訳は抄訳です