トヨタ「ヤリス」と言えば、「ヴィッツ」という日本名からグローバル名「ヤリス」へと改めて登場したコンパクトカーです。2020年2月にはコンパクトハッチバックの「ヤリス」が登場し、同年8月にはクロスオーバーSUVの「ヤリスクロス」、その1カ月後にはスポーツモデルの「GRヤリス」が登場しました。それら3モデルを合算した「ヤリス」シリーズは日本自動車販売協会連合会が公表する登録台数において、2020年に最も売れた登録車となりました。

 その中でも、世界ラリー選手権で勝つことを目的に開発された「GRヤリス」は、発売以来クルマ好きの間でも高く評価する方も多く、数あるトヨタ車の中でも現在、「最も興味深いクルマ…」と形容されることも少なくありません。数十年前であれば、フロントエンジン・後輪駆動のスポーツカーで「ハチロク」の愛称で親しまれている「AE86」が、その栄誉を誇っていました。とは言えどちらのクルマも、その人気の高さは発売当時における最先端技術をフルに発揮したことと共に、トヨタお得意のお手頃価格で着地した無骨なシャシーの賜物と言えるでしょう。

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 そんな中、この2台を組み合わせたクルマをつくり、夢の競演を実現させようとしている日本の自動車チューニング会社があることは、皆さんご存知でしょうか?

 その会社とは、ダディーモーターワークス社と言います。このプロジェクト、厳密には会社のオーナーでありエンジニアの尾頭邦宏さんによるもの。もともとエンジンスワップ(1台のクルマのエンジンを別のクルマに積み替えること)を得意とする彼は、「AE86レビン」のシャシーと「GRヤリス」用のロングブロック・エンジンを組み合わせて、夢の1台を計画しているのです。

 今回使用しているのは、「G16-GTS」という正式名称を持つ「GRヤリス」のロングブロック(エンジンを組み立てる工程で、エンジンブロックにシリンダーヘッドが取り付けられた状態のこと)とターボアセンブリー。いずれもトヨタから、直接調達したものとなります。

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 そしてインテークマニホールド(エンジンに空気を送り込むパイプおよび、補機類のこと)は、尾頭さんによるオリジナルです。エンジン制御システムに関しては、市販のモノが使用されています。

 残念ながらこれらの組み合わせは、接続すればすぐに機能するというわけではありません。新たに付け替えようとしているエンジンは、もともと「AE86」に搭載されていたエンジンと比べて高さがあるため、従来よりも上に8cm、下に2cmほどはみ出たカタチで取り付ける必要があります。しかしながら、全長には大差なく、尾頭さん独自のV字型の冷却装置を用いることで、設置自体は完成を迎えようとしています。

【現状でのプロジェクトの動画】

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G16E-GTS SWAP AE86 GRヤリスエンジンスワップ
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 これまでのところ、必要な部品のほぼ全てを他のクルマから調達しています。ステアリングラックが、マツダの初期型「ユーノス・ロードスター」であることを除けば、「クラウン」のリアエンド、「アルテッツァ」のデフ、「エスティマ」のリアディスクブレーキ、そしてZN6世代の「86(ハチロク)」のマニュアル・トランスミッションと、ほぼすべての部品がトヨタの純正パーツとなります。

 尾頭さんいわく、「より挑戦的なチューンナップのバランスを追究するために、『86』以外のトランスミッションを模索中」とのことです。

 ダディーモーターワークスがこのクルマを仕上げるまでには、あと半年ほどの作業日数が見込まれています。長く愛されてきた同一メーカーのエンジンとシャシーのマリアージュという画期的な試みとして、おそらく2022年の東京オートサロンの目玉の1つになることでしょう。ぜひ実現してほしいものです。

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【試乗】GRヤリス RS 高速道路&ワインディング 200km
【試乗】GRヤリス RS  高速道路&ワインディング 200km thumnail
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Source / Road &Track
Translate / Kazuki Kimura
この翻訳は抄訳です。