2021年のSEMA(Specialty Equipment Market Association:特殊部品市場協会)ショーで、フォードは「F-100イルミネーター コンセプト」を公開して話題を集めました。これは、1978年製のピックアップトラックに「マスタング・マッハE GT」の電動モーター2基を取りつけ、懐かしい風貌と480馬力、860N・mトルクというパワーを両立させた車でした。

そして同じくSEMAの2022年では、今度は日産が1987年式の「サニートラック」に「リーフ」のパワートレインを移植。出力こそかなり低いものの、クラシックなトラックの電動化を披露しました。

今回の改造を手掛けたのは、サウスカロライナ州にあるビルダー「トミー・パイク・カスタムズ」です。新たに積み込まれたパワートレインは、「リーフS」の40kWhのリチウムイオン電池を備えた147馬力の出力に320N・mのトルクを発揮するシングルモーター仕様。そもそも「サニー」は小型の車なので、これでも元のガソリンエンジンと比べて約2倍の出力、約3倍のトルクです。

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NISSAN

レトロ感漂うトリコロールが絶妙

このトラックのどこに、電動モーターが仕込まれているのかは明かされていませんが、後輪に搭載されていることを期待したいところです。電動に生まれ変わったピックアップには、オリジナルのままのマニュアルトランスミッションも残されているようですが、それがどのように機能するのかについても日産は明らかにしていません。フロントサスペンションには初代の日産「240SX」のものが流用され、負荷がより大きくなるリアにはリーフスプリング(重ね板ばね)が使われています。

ルックスは「サニートラック」の角ばったデザインを強調するワイドボディキットが、いまの時代だからこその実にフレッシュな輝きを放っています。そしてそのボディに、ブロック・レーシング・エンタープライズ(※編集注:アメリカ人レーシングカーデザイナーのピート・ブロック氏によって1966年に設立されたレーシングチームのこと)が1970年代にレースで用いた「ダットサン」をオマージュしたカラー、赤・白・青のトリコロールによって、見事ないで立ちに仕上がっています。

LEDのヘッドライトが1980年代のクラシックカーに現代的な演出を加え、ヴィンテージのレーシングカーにインスパイアされた17インチのホイールも一線を画した様相をさらに際立たせています。

Source / CAR AND DRIVER
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です