現代アートが全盛の中、琳派の継承者にして現代日本画壇において最も重要な人物のひとり加山又造。「日本画の最高峰」とも称され、中国の水墨画にも影響を与えた加山又造の水墨画の屏風がこのたび出品されました。

matazo kayama
Shinwa Auction

加山又造作品史上最高額。ハンマープライスはほぼ2億円  

今回話題のオークションを開催したのは、国内市場最大級のオークション会社Shinwa Auction 株式会社。そして出品された作品は、四条・円山派の絵師を祖父にもち、昭和2年の生まれながら晩年にはCGアートにも取り組むなどモダンであり続け、旺盛な好奇心で常に先端を歩んだ加山又造ですが、そんな彼が来る21世紀を目前にする1995年に制作した水墨画、四曲一隻(4面屏風の単独もの)の『黄山雲海』。この屏風は当初、7000万円~1億円というプライスが予測されていましたが、結果それを大きく上回る1億9550万円で落札されました。

アート市場における「オーソリティ」のトレンド 

またこの日、最高額がついたのは藤堂伯爵家伝来の名宝『金茶道具一式』。室町時代に近江国犬上郡藤堂村(現在の滋賀県犬上郡甲良町)周辺を治め、藤堂姓を名乗った三河守藤原景盛(生没年不詳)を始祖とする藤堂家。 1929年、東京・上野にある東京府美術館(当時)で開催された、「日本名寶展覽會」に出品された伯爵藤堂高紹(とうどうたかつぐ 1884-1943)の所蔵品。「当主でさえも年に一度しか目にすることのできない秘蔵の家宝」と言われた門外不出の名宝が、今回出品されました。落札額は3億4500万円。 

silver liz
DARREN ORNITZ//Aflo
アンディ・ウォーホルによる「Silver Liz」シリーズのひとつ、「Silve Liz (diptych)」。画像は2015年5月1日サザビーズのオークションにかけられたときのもの。

昨年開催された同オークションで史上最高額23億円で落札されたのは、アンディ・ウォーホルの「Silver Liz (Ferus Type)」(1963年作)。これも含めて考えれば、POPアートにせよ日本画にせよ、近年の高額落札がすでにオーソリティ(権威・信頼性)が備わり価値が定まった作品に傾いている…言い換えればコレクターが安定株に向かうトレンドが、ここでも垣間見られたと分析する専門家も…。ファッションもエンターテインメントも同様の流れが見られる中、当然の結果と言えるかもしれません。