記事に移動

ジョン・メイヤーのアルバム7枚を独断と偏見でランク付け

スタイルの達人でインスタライブでも人気を集めるこの41歳のシンガーソングライターは、これまでに7枚の素晴らしいアルバムを制作してきました。

By
Every John Mayer Album, Ranked
Amazon

 ジョン・クレイトン・メイヤーには、様々な顔があります。彼はスタイルアイコンであり、深夜のインスタライブ・トークショーのホストであり、1人の思想家でもあります。

 ですがメイヤーは、第一にミュージシャンであり、それも最高のミュージシャンの1人です。様々な感情を明確に表現する才能を持ちながら、現代における最高のギタリストの1人とも称されているのですから…。後者について納得がいかないという人は、彼のライブアルバム『Where the Light Is: Live in LA』に収められている『Gravity』を最後まで聴いてみるといいでしょう。この感涙ものの演奏を聞いた後には、否定のしようがないかと思います。 
 
 2001年のアルバム『Room for Squares』でのデビュー以来、メイヤーは7枚のスタジオアルバムを制作してきました。彼の音楽を聴きながら育った人なら、アルバムごとに成長するメイヤーを感じてきたことでしょう。『Room for Squares』の恋に悩んでいた少年は、最新シングル『I Guess I Just Feel Like』を聴いてもわかるように、今やこの世界への疑問を見事に表現する、1人の男へと成長したわけです。極めて主観的な視点から言えば、メイヤーがこれまで世に出した駄作は1曲だけです。

 その曲とは『Say』であり、アメリカ人がら誰もが地元のチェーンレストランや百貨店、エレベーターの中などで少しは聞いたことがあるでしょう…。今回は、そんなジョン・メイヤーの7枚のスタジオアルバムを独断と偏見でランク付けしてみました。

第7位:『Paradise Valley』(2013年)

Sky, Grassland, Prairie, Plain, Poster, Photography, Sporting Group, Stock photography, Steppe, Canidae,
Amazon

 メイヤーは2012年まで、長い間スポットライトから遠ざかっていました。ですが『Born and Raised』では、新たなサウンドでファンに驚きと喜びをもたらしたのです。

 このアルバムはカントリー・フォークを軸にしたものでしたが、彼は翌2013年の『Paradise Valley』でもこれを受け継ぎました。メインストリーム音楽の観点から言えば、このアルバムに含まれるヒット曲は1曲だけです。当時のガールフレンドであったケイティ・ペリーとのデュエット曲『Who You Love』であり、2人の見事なボーカル(主にペリー)と素晴らしいハーモニーを見せつけるものでした。

 「My boy, he ain't the one that I saw comin'. And some have said his heart's too hard to hold, (今の彼が現れるとは、思ってもいなかった。彼の心を掴み続けるのは無謀だと言われたこともあった)」という歌詞は、ペイリーがメイヤーの激しい恋愛遍歴の中での自分の立場に言及しているかのようです。この恋愛遍歴は、『Paper Doll』の中でも顔を出し、この曲はテイラー・スウィフトについて歌ったものと噂されています。 
 
 そんなメイヤーの恋愛事情はさておき、この曲で最高なのは、そのミュージックビデオです。ネットで流行した「Pracercizing」というエクササイズのチュートリアル動画のパロディになっていますから…。

 フランク・オーシャンが参加した『Wildfire (Reprise)』も収録されていたこのアルバムですが、今回のリストでは最下位に選びました。このアルバムの出来が悪いというより、メイヤーの他のアルバムがどれも素晴らしいためです。

『Who You Love』のPV動画

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
John Mayer - Who You Love (Official Video) ft. Katy Perry
John Mayer - Who You Love (Official Video) ft. Katy Perry thumnail
Watch onWatch on YouTube

『Paradise Valley』に収録されている、『Who You Love』のPV動画。ケイティ・ペリーとのデュエット作として、人気の高い曲です。

第6位:『The Search for Everything 』(2017年)

Face, White, Drawing, Sketch, Head, Illustration, Black-and-white, Portrait, Neck, Ear,
Amazon

 2017年にリリースされたメイヤーの最新アルバムは、彼のこれまでの素晴らしい作品の数々には後塵を拝す結果となりました。アルバム『The Search for Everything 』は、切なくもポップな『Still Feel Like Your Man』から徹底して内省的な『In the Blood』まで、良曲揃いのアルバムです。ブルースギターあり、気取らないアコースティック曲あり、もちろん愛の探求もあるこのアルバムは、メイヤーがキャリアを通して人々にもたらしてきたあらゆる感情を網羅するものです。 
 
 しかし、これまでのアルバムほどには感情を揺さぶることはありません。ちなみに『Emoji of a Wave』という曲も収録されており、これは個人的には、クオリティと曲名がもっともかけ離れた曲だと思います(とにかく熱唱したくなることでしょう)。

ADの後に記事が続きます

『Still Feel Like Your Man』のPV動画

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
John Mayer - Still Feel Like Your Man (Official Music Video)
John Mayer - Still Feel Like Your Man (Official Music Video) thumnail
Watch onWatch on YouTube

『The Search for Everything 』に収録されている、『Still Feel Like Your Man』のPV動画。剣道のシーンが印象的。

第5位:『Heavier Things』(2003年)

Guitarist, Guitar, Album cover, Music, Musician, Electric guitar, Musical instrument, Action figure, Poster, Plucked string instruments,
Amazon

 メイヤーにとって2枚目のアルバムである本作は、デビュー作の『Room for Squares』と同じように、「青年の実存」というテーマを感じさせるものながらそこには慰めもありました。メイヤーはこのアルバムで一流アーティストの仲間入りをし、(個人的な意見ながら)2作目でスランプに陥ることもありませんでした。

 また、メイヤーの楽曲の中でおそらく一番の人気を誇る『Daughters』が収録されたのも、このアルバムでした。『Room for Square』にメイヤーの好奇心が現れているとすれば、『Heavier Things』には彼の不安が反映されています。 
 
 このアルバムの最後の曲『Wheel』は、あまり有名ではありません。ですが、『Emoji of a Wave』や『I Guess I Just Feel Like』といった生き方を見つめるその後の曲の数々の先駆けとなりました。

『Daughters』のPV動画

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
John Mayer - Daughters (Official HD Video)
John Mayer - Daughters (Official HD Video) thumnail
Watch onWatch on YouTube

『Heavier Things 』に収録されている、『Daughters』のPV動画。高い人気を誇る曲です。

ADの後に記事が続きます

第4位:『Born and Raised』(2012年)

Font, Art,
Amazon

 『Born and Raised』は多くの面で、彼にとって復活の物語と呼ぶべきアルバムです。メイヤーは2011年、アデルやキース・アーバンも苦しんだ声帯の肉芽腫の手術を受け、その声を取り戻しました。

 また、このアルバムがリリースされたのは、彼が療養のために長期で休みをとり、モンタナ州で生活を送った後のことでした。メイヤーの復活は、ボーカルと歌詞の両面で疑う余地がありません。『Speak for Me』の中では、「Now the cover of a Rolling Stone, ain't the cover of a Rolling Stone. And the music on my radio, ain't supposed to make me feel alone(今や『ローリングストーン』の表紙は、『ローリングストーン』らしくないものだ。ラジオで流れる音楽は、孤独を味わわせてはくれない」という歌詞で、かつては誰もが話題にしていた『ローリングストーン』誌の表紙のキャスティングに対し、いまでは過去のことであると言及しています。 
 
 このアルバムでは、カントリー・フォーク色を感じさせる『Whiskey, Whiskey, Whiskey』のような曲に、ニール・ヤングの影響がはっきりと見えます。ですが、『Love Is a Verb』や『Something Like Olivia』のような、メイヤーの定番であるラブソングでのブルースギターも戻ってきました。過小評価されている名曲を挙げるなら『Walt Grace's Submarine Test, January 1967』です。メイヤーはこの曲で、人生にうんざりし、自らの手で潜水艦をつくって東京へ旅立った男の物語を語っています。

 この歌の最後は曖昧なもので、ウォルト・グレイスが太平洋を越えられたのか、半ばで死んだのかはわかりません。このようなストーリーテリングは、それまでの彼には見られなかったもので心地良くまとまっていると言えます。

『Something Like Olivia』のPV動画

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
John Mayer - Something Like Olivia (Genero.tv Competition Winner)
John Mayer - Something Like Olivia (Genero.tv Competition Winner) thumnail
Watch onWatch on YouTube

『Born and Raised』に収録されている、『Something Like Olivia』のPV動画。メイヤー定番のラブソングです。

第3位:『Battle Studies』(2009年)

Album cover, Forehead, Photography, Portrait, Black-and-white, Black hair, Portrait photography,
Amazon

 メイヤーのピュアな失恋バラードが詰まった『Battle Studies』がリリースされた2009年、私は恋人と別れたばかりでしたから、このアルバムを上位に選ばないわけにはいきません。

 いくつか曲名を挙げるだけでも『All We Ever Do Is Say Goodbye』、『Perfectly Lonely』、『Edge of Desire』といった失恋ソングが並び、極めつけは『Heartbreak Warfare』です。

 『Battle Studies』には、テイラー・スウィフトとのロマンスが噂された時期にレコーディングされた2人のデュエット曲、『Half of My Heart』も収録されています。この曲は、2人の実際の別れ話の合間にレコーディングされたという可能性もないでしょうか。

 『Battle Studies』は暗くて、気の滅入るアルバムです。授業を終えて雨の中徒歩で帰宅するときに聞くのがふさわしいような、切ない曲ばかりです。またメイヤーが、「何もかも投げ出し、自分のことだけに集中する」と言及したのも初めてでした。 
 
 このアルバムは、ヒット曲揃いというわけではありません。ですが、どれもジョン・メイヤーらしい曲の数々です。ファンたちは「Continuum」から3年の間、こんなアルバムを待ちわびていました。そして彼らのもとに届けられたのは、さらに成長しながらも落ち込んだ様子のメイヤー…多感な時期の男の子なら誰もが共感できたことでしょう。

ADの後に記事が続きます

『Heartbreak Warfare』のPV動画

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
John Mayer - Heartbreak Warfare (Official Music Video)
John Mayer - Heartbreak Warfare (Official Music Video) thumnail
Watch onWatch on YouTube

『Battle Studies』に収録されている、『Heartbreak Warfare』のPV動画。優しいメロディーが印象的な切ない失恋ソングです。

第2位:『Room For Squares』(2001年)

Guitar, String instrument, Musical instrument, Music, Acoustic guitar, Cool, String instrument accessory, Music artist, Plucked string instruments, Guitar accessory,
Amazon

 メイヤーのデビューアルバムは、彼がコロンビアとの契約する前にはオンラインでしかリリースされていませんでした。作曲のみを評価するなら、彼のベストと言っても過言ではありません。『Room For Squares』の中で、若く好奇心旺盛なメイヤーは、自らの経験を通して愛や人生に関する浮き沈みを探ります。 
 
 このアルバムには、メイヤーを少しでも知っている人なら挙げるであろう『No Such Thing』や、『Your Body Is a Wonderland』などの定番曲が収録されています。ですが、「6歳のころに戻りたい」と歌った『83』や、皮肉にも自らの将来を占う結果となった『My Stupid Mouth』など、メイヤーの深遠な作曲の才能が発揮された曲の数々も含まれています。

 オリジナルのオンライン版には収録されていませんが、『3X5』はこのアルバムの中で一番の曲かもしれません。元恋人に、「よりを戻したい」という思いを伝えるために送りたくなるような曲ですから…(とは言え、この曲であろうとなかろうと、実際にするのはやめておきましょう)。

『Your Body Is a Wonderland』のPV動画

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
John Mayer - Your Body Is a Wonderland (Official HD Video)
John Mayer - Your Body Is a Wonderland (Official HD Video) thumnail
Watch onWatch on YouTube

『Room For Squares』に収録されている、『Your Body Is a Wonderland』のPV動画。爽やかなギターサウンドが印象的な曲です。

ADの後に記事が続きます

第1位:『Continuum』(2006年)

Text, Font, Logo, Brand, Graphics,
Amazon

 ジョン・メイヤーのサードアルバムは、しばしば彼の最高傑作とみなされます。これは当時のメイヤーが、作曲と演奏の両面で最も心地よく、しがらみもなく、つくったアルバムだからです。

 『Room For Squares』が「メイヤーの作曲家としての才能を感じさせたアルバムだ」とすれば、『Continuum』は「一発屋ではなく真のアーティストとしてのメイヤーを確立したアルバム」と言っていいでしょう。このアルバムはグラミー賞で、「最優秀アルバム賞」を含む3部門にノミネートされ、2部門を受賞しました(「ベスト・ポップ・ボーカル・アルバム賞」および『Waiting on the World to Change』での「ベスト・ポップ・ボーカル・パフォーマンス賞」)。 
 
 『Continuum』は、全体を通して一貫性のあるアルバムであり、一番の曲を選ぶのは容易ではありません。美しくも不運な物語を描いた『Slow Dancing in a Burning Room』から実存的な爆弾とも言うべき『Stop This Train』、涙が頬を伝いそうなほど美しい『Dreaming With a Broken Heart』まで、いずれも時代を超える名曲の数々です。

 とは言え、彼の極上のギターさばきと腹立たしいほど共感を呼ぶ曲作りの才能が発揮された『Gravity』こそ、最も人気の高い最高の一曲と言えるかもしれません。 
 
 ジョン・メイヤーは『Continuum』がリリースされる前から、すでにスターとなっていました。ですが、このアルバムこそが音楽業界に激震を与えたものでした。迷うことなく1位に選ぶことのできるアルバムと言えるのです。

『Waiting on the World to Change』のPV動画

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
John Mayer - Waiting On the World to Change (Official Video)
John Mayer - Waiting On the World to Change (Official Video) thumnail
Watch onWatch on YouTube

『Continuum』に収録されている、『Waiting on the World to Change』のPV動画。ドライブなどにおすすめの曲です。 
 

From Esquire US 
Translation / Wataru Nakamura 
※この翻訳は抄訳です。

音楽

クライテリア・スタジオ

【ロックの歴史を巡る旅:10】エリック・クラプトンとマイアミの名門スタジオ

66th grammy awards show

【グラミー賞2024】トレヴァー・ノアが正しいオープニング・モノローグを披露しました

us entertainment music grammys award show

【グラミー賞2024】ジェイ・Z、数十年に渡るヒップホップの盲点をレコーディング・アカデミー会員に指

テイラー・スウィフト

今最も経済効果を生み出す歌手、テイラー・スウィフトのマーケティング術7|辰巳JUNKが解説

ADの後に記事が続きます
ADの後に記事が続きます