現実に立ち向かうことよりも、大統領のキャンペーンを支持することに力を注いでいる方々の間で、先日、「(アメリカで)新型コロナウイルス感染症で死亡したと記録された方の94%には、他の死因記載されていた」というアメリカ疾病予防管理センター(CDG)の新しい報告が大きな話題となりました。

 “人並外れて頭が良い”らしい保守的なメディアの解釈によれば、「ここに記録されている新型コロナウイルス感染症による死者の6%のみが、実際にこのウイルスが死因となって死亡している。つまりアメリカでの死者数18万3000人のうちのほとんどは、カウントすべきではない」という見解です。

 1カ月ほど前に亡くなった、2012年の米大統領選で共和党候補指名争いに参加した黒人実業家ハーマン・ケイン氏のTwitterアカウントには、westernjournal.comのリンクとともに「ウイルスは多くのメディアが報道しているほど、致死性が高くはないようだ」とつづられていました。しかしこのツイートは、一瞬で削除されています。

 現実として、この内容に興味津々の方に説明しますと、この「94%」という数字は驚くべきことでもありません。すでにいくつかの報道があったように、「94%の患者全員が糖尿病のような慢性疾患を抱えていた」という意味でもないのです。これらの症例の43%は、「肺炎」が死因の1つとして挙げられており、新型コロナウイルス感染症に関連する合併症である可能性が高いというわけです。

 さらに47%の方には、「急性呼吸不全」という死因も記載されていました。これもウイルスに関連している可能性が高いと思われます。もしあなたがフェイクニュースの信者で、私の言葉を「信じられない!」と言うのであれば、FOXニュースの医療専門アドバイザーで『Make America Healthy Again』の著者でもある、ニコール・サフィエ医師の言葉に耳を傾けてください

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 サフィエ医師が動画で指摘するように、乳ガンで死亡する方の42%が「臓器不全」を死亡の近因としています。そして24%は、「呼吸不全」と記載されています。「しかしこれらの症状はガンが直接の原因であったり、治療自体が原因となっているのです」と、この有能な医師は話しています。

 「もしがんにかかっていなければ、これらの原因で亡くなることはなかったでしょう。新型コロナウイルス感染症の死者にも、同じことが言えます。ウイルスに感染していなければ、急性呼吸不全や敗血症などの原因でなくなることはなかったでしょう。新型コロナウイルス感染症がこれらの病気を引き起こし、死に至らしめる原因となったのです」とのこと。

 もし前述の94%の方々が基礎疾患を有していたとしてもこのことから、「新型コロナウイルス感染症が基礎疾患を重症化させた」と言えるのではないでしょうか。

 例えば、新型コロナウイルス感染症に感染後死亡した糖尿病患者について考えてみましょう。もし彼らが新型コロナウイルス感染症に感染しておらず、糖尿病を患っているだけだとしたら、今頃亡くなっていたでしょうか? そんなことはないと思いますか? それなら、彼らはウイルスに感染したからこそ亡くなってしまったのです。

 これはまだ他の保守派の論法ほどは広がってはいませんが、最近では何もかも真剣に受け止め、状況が大きくなる前に止めようとする傾向もあります。トランプ大統領の支持者たちが、パンデミックに関する大統領の対応から目を背けたくなるのは理解できます。大統領がしていることは、国民の不安をさらに煽(あお)っているようなものですから…(大統領の顧問たちは、これが彼の政治的利益になるはずだと公言すらしています。ですが、それが真実だという証拠はまだありません…)。

 新型コロナウイルス感染症によるアメリカの死者数(9月3日14時の時点で18万5720人:参照「NHK特設サイト」より)は現在、世界の新型コロナウイルス感染症による死亡者数(9月3日14時の時点で86万3028人:同参照)の21.5%を占めています。これは、さまざまな擁護者いわく「無類のヘルスケアシステムを備えている」という、世界の歴史上最も豊かで強力な国で起こっていることなのです。

 2020年8月13日に「ニューヨーク・タイムズ」紙は、「同年3月以降は、例年よりも20万人もの多くのアメリカ人が死亡している」と報道しました。これはパンデミックのよって引き起こされた、“excess deaths(超過死亡)”と呼ばれる指標としています。ですが、この数字からも新型コロナウイルス感染症による死亡と記録されていないケースが、少なくとも何千件もあるのでは?と推測できないでしょうか…。

 つまり、現政権下のアメリカでの新型コロナウイルス感染症による死者数は、過大評価されているどころか、実際の数よりも少ない可能性が非常に高いと思えるのです…。

Source / ESQUIRE US
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。