この記事をざっくり説明すると…

  • Aptera Motors(アプテラモータース)が以前から予定していた、長距離走行可能なソーラー発電による電気自動車のプロダクションモデルと動画が公開されました。
  • ソーラールーフを搭載し、充電なしでも40マイル(約64.4km)を走ることのできるAptera EV。航続距離は1000マイル(約1609km)ともうわさされています。
  • 2020年12月4日から、100ドルからの返金可能なデポジット(前金)での予約注文の受付が開始されています。

 いつの日か、電気自動車の航続距離が1000マイル(約1609km)に達する日が訪れる――。電気自動車の開発が始まって以来、そう囁(ささや)かれてきましたが、その日はもう来年(2021年)に迫っているのかもしれません。実現の可否は、カリフォルニア拠点のスタートアップ「Aptera Motors(アプテラモータース)」が、ツーシーターの3輪電気自動車を本当に売り出すかどうかにかかっています。

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APTERA

 まるで翼を持たない飛行機のような姿の「アプテラ(Aptera)」ですが、0.13という抗力係数(抗力とは「物体の表面に働いて、その運動を妨げる力」のこと。抗力係数とは、空気や水などの流体環境における物体の抗力または抵抗を定量化するために使用される無次元の量のこと)を誇り、1マイル(約1.6km)当たり100Wh(ワット時)のエネルギーしか必要としないという超省エネ自動車とうわさされています。

 つまり、100kWh(キロワット時)の電池を用いれば、1000マイル(約1609km)の航続距離を得ることができる計算になります。よく晴れた日であれば、搭載したソーラールーフから生み出される電力だけを使って、「充電なし」で40マイル(約64.4km)の航続距離を加算することができるという性能を備えているのです。

 ボンネットと後部ハッチにもソーラーパネルを追加すれば、さらに24マイル(約38.6km)の航続距離が追加されることになるとのこと。理論上、条件さえ満たすことができれば、「電池からの電力に頼る必要さえない」ということになるかもしれません…。

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APTERA

 走行中に、リアルタイムでの充電が可能というわけではないので、「アプテラは太陽電池を搭載している」とは表現することができません。太陽光だけで十分な馬力を得るためには、表面積の大きなソーラーパネルと、その抵抗をほぼゼロにする必要があります。実験段階のソーラーカーが、トタン屋根を載せた自転車のようなカタチをしているのはそのためです。

 「Aptera Motors」によれば、「太陽光による充電で1時間あたり5マイル(約8キロ)の走行を実現できるまでの目途は立っている」とのこと。いずれ、走行しながらの太陽光充電した分も加算可能となるかもしれません…。

 ある程度の馬力を感じさせる「アプテラ」ですが、その数値については正式には明らかにされていません。ただし、0-60マイル加速(時速約96キロまでの加速時間)については参考となりそうな数字が公表されています。全輪駆動車なら、「5.5秒」ほどもあれば合格点とも言えますが、この3輪自動車はなんと「3.5秒」という実力を備えているとのこと。

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APTERA//YouTube

 バッテリーパック(充電池)のサイズは、25kWhから100kWhまでバリエーションがあり、モデルによって異なるバッテリー重量は最大2200ポンド(約998kg)です。イメージとしては、タイヤの上にバッテリーを積んで、それを運転するようなものかもしれません。Aptera Motorsによると、DC急速充電を使えば1時間当たり、500マイル(約805km)もの航続距離分の充電が可能とのこと。

これはpollの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 気になる値段ですが、2万5900ドル(約270万円)から4万6000ドル超(約480万円超)まで、付属するオプションなどによって異なります。まず登場するモデルは「Paradigm(パラダイム)」、そして「パラダイムプラス(Paradigm+)」とのことですが、果たしてそれが車名なのか? それともグレード名なのか? その辺もまだはっきりとしたことはわかっていません。

 車高やホイールカバーの異なるモデルや、テントやオーニングが搭載されたモデルなども想定されているらしく、想像を超えて自由度の高いクルマとなる可能性がありそうです。

Source / CAR AND DRIVER
Translate / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です