この記事をざっくり説明すると…

  • ロイター通信は、アップルが自動運転の電気自動車の生産計画を進めていて、生産開始は2024年を目標にしていることを匿名の関係者の言葉として報じています。
  • このアップルのEVは、コストを抑えるとともに航続距離の延伸を可能とするアップル独自の「モノセル技術」を採用していると見られています。
  • アップルが車両自体を製造するのか、またはサードパーティと協力するかどうかについては、現状では明らかになっていません。

 アップルは、世の中が現在のようにEV(電気自動車)に対して興奮する以前から、「電気を動力とする自動車の開発に取り組んでいる」と噂され続けてきました。そしてこのたびロイター通信は、そのクルマがついに2024年に実現するかもしれないという可能性を示唆しました。

 ロイター通信は、アップルの自動運転車は2024年に生産が開始され、「これまでにない新たなレベル」のバッテリー技術を搭載すると報じています。その情報元に関してロイター通信は、「アップルのバッテリーデザインを見た」と語る匿名筋からの情報として発表。「その新たなバッテリーはコストを劇的に減らし、航続距離を伸ばすことができる」というのです。

 アップルが自社で車両を製造するのか? はたまたEV製造のパートナーを探しているのか? については、まだ明らかになっていません。しかし事情通からの情報として、「そのEVはロボタクシーや商用車などではなく、よりパーソナルな存在として個人的に楽しむ乗り物になるだろう」と、ロイター通信は伝えています。

 また、「“ライダーセンサー(光を用いたリモートセンシング技術の一つ。レーザー照射に対する散乱光を測定することで、遠距離にある対象までの距離やその対象の性質を分析するもの)”が搭載されているかもしれない」とした上で、新たに発売されたスマートフォンとタブレットであるiPhone 12 ProとiPad Proにも、このアップルが開発した“ライダーセンサー”が搭載されていることについても言及しています。

car and driver’s rendering of the apple car from 2016
Car and Driver
アメリカの自動車メディア「CAR AND DRIVER」が2016年に作成した、アップルの電気自動車の想像イメージ。
アップルの自動運転車開発は、
公然の秘密となっていました

 アップルの自動車計画は、「プロジェクト・タイタン(Project Titan)」というコードネームで、2014年に発足しました。それ以来、自動車業界やテクノロジー業界の中では公然の秘密とされてきました。これまでアップルは、ポルシェやテスラなどの自動車メーカーから自動車技術者を引き抜いてきました。その中には最近アップルを退社し、フォルクスワーゲングループへと戻り、「アルテミス(Artemis)」というプロジェクトを率いるアレクサンダー・ヒッツィンガー氏も含まれています。

 もしロイター通信による匿名からの情報源が正しいのであれば、アップルが開発を進めている車両は無事軌道に乗り、生産が開始されるかもしれません。新型コロナウイルスによる生産体制の遅延を考慮すれば、完成予定は2025年に後ろ倒しになるという声もあります。また、運転支援技術を追加搭載するために、アップルがセンサー技術を専門とする会社に触手を伸ばしているという噂もあります。

 実際の生産についてですが、他の自動車メーカーに転用可能なEVプラットフォームを持つ自動車サプライヤー「マグナ(Magna)」とアップルが会談の場を持ったとも噂されています。他に、プラットフォームに関する動きとしては、長い間アップル製品の受託生産を行っている企業の一つである台湾の「フォックスコン社(Foxconn)」は、先日、独自のEVプラットフォーム計画を発表しています。

アップル独自のモノセル技術は
採用されるのでしょうか?

 ロイター通信が伝えるところによると、このEVの電源はアップルの「モノセル技術」を採用すると見られています。これはパウチやモジュールを使わずに、各バッテリー個々のセルの容量を拡大するもので、航続距離の延長が大いに期待できます。また、従来のリチウムイオンバッテリーよりも安全性の高い、リン酸鉄リチウムと呼ばれるバッテリー技術の検討も進めているとも伝えられています。 

Source / CAR AND DRIVER
Translate / Esquire JP
※この翻訳は抄訳です