今季のロエベは要素をそぎ落とし、基本形を際立たせたシンプルさをさらに追求――そうして2023年の秋冬プレコレクションキャンペーンを発表しました。アーティストやクリエイターのコミュニティーにおける人生、仕事、発想へのそれぞれの個人的な見解を、冷静沈着でありつつ少し“ずれた形”で記録しています。

ユルゲン・テラー氏が撮影した今回のキャンペーンでは、俳優やキュレーター、シンガー、モデルなどのキャストたちが、多少の状況演出がありながらも自然な姿で写真に収められています。

北野武
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コメディアン、パフォーマー、テレビキャスター、映画監督と多面的な顔もつ北野武氏。

このキャンペーンはロエベとユルゲン・テラー氏が継続して行ってきたコラボレーションの新たな試みということで、「“生(なま)の視線”、“乾いたユーモラス”、“身体とポーズに対する彫刻的アプローチ”を際立たせてミックスしている」と言います。それぞれの写真にはテラー氏自身のアーカイブ作品が写り込み、大きな支柱で支えて背景として使用されています。

このような再文脈化された写真と野外のセットとのコントラストは、ユーモラスで少し不条理な緊張感を生み出します。さらに、現実と描写の遊びはディテールへの探究心をあおり、それを解釈するキャストたちのポーズによって頂点に達しているかのようです。

被写体は北野武氏、俳優オーブリー・プラザ氏(Aubrey Plaza)、俳優マイハラ・ヘロルド氏(Myha'la Herrold)、俳優ルース・ネッガ氏(Ruth Negga)、俳優マレー・バートレット氏(Murray Bartlett)、俳優ソノヤ・ミズノ氏(Sonoya Mizuno)、音楽家デヴ・ハインズ氏(Dev Hynes)、モデルのシャオ・ウェン・ジュ氏(Xiao Wen Ju)、アーティストのナイリー・バグラミアン氏(Nairy Baghramian)、アーティストのク・ジョンア氏(Koo Jeong A)、キュレーターのハンス・ウルリッヒ・オブリスト氏(Hans Ulrich Obrist)です。

ハンス・ウルリッヒ・オブリスト氏
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ハンス・ウルリッヒ・オブリスト氏…スイスのキュレーターであるハンス・ウルリッヒ・オブリストは、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーのアーティスティックディレクターであり、南仏の文化総合施設リュマ・アルルのシニアアドバイザーでもあります。それ以前は、パリ市立近代美術館のキュレーターを務めていました。1991年に最初の展覧会「 World Soup (The Kitchen Show) 」を開催して以来、世界中で350以上の展覧会をキュレーションしています。

ハンス・ウルリッヒ・オブリスト氏は、エレファントバッグを手に持ち写真に収まっています。

オーブリー・プラザ氏
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オーブリー・プラザ氏…アメリカの俳優プラザは、SAG 賞(全米映画俳優組合賞)の受賞者であり、ゴールデン・グローブ賞、インディペンデント・スピリット賞、ゴッサム・インディペンデント映画賞にもノミネートされています。 マイク・ホワイト監督の『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート』にも出演。近作のジョン・パットン・フォード監督作品 『Emily the Criminal』では、出演及び自身のEvil Hag Productions Company で製作も行っています。次回はフランシス・フォード・コッポラ監督の長編映画『メガロポリス』に出演予定で、現在はDisney+ のマーベルシリーズ『Agatha : Coven of Chaos 』を製作中です。
ルース・ネッガ氏
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ルース・ネッガ氏…映画や舞台で活躍するアイルランド出身の俳優。映画『PASSING 白い黒人』では高い評価を集め、ジェフ・ニコルズ監督の『ラビング愛という名前のふたり』ではミルドレッド・ラビングを演じたことでも知られます。アカデミー賞、英国アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、インディペンデント・スピリット賞でノミネートされ、アイルランド映画・テレビ賞の主演女優賞を受賞。2022年にブロードウェイデビューを飾った『マクベス』では、トニー賞にノミネートされました。

オーブリー・プラザ氏は花とコンクリートの前でパズルバッグ スモールを持ちを持ち、ルース・ネッガ氏は巨大なフクロウの写真を背にフォントトートを見せています。

北野武
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北野武氏…コメディアン、パフォーマー、テレビキャスター、映画監督。北野武は、国際映画界の先駆者として数々の称賛を浴びてきました。映画『HANA-BI』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞(1997)を受賞したほか、フランス政府よりレジオン・ドヌール勲章「オフィシエ」(2016)、日本政府より旭日小綬(しょうじゅ)章(2018)を授与されています。新作映画『首』(2023年公開予定)は16世紀後半を舞台に、日本の戦国武将による覇権争いを描いています。

北野武氏は壁に立てかけられた電話の写真の前で、ブラックのワントーンの着こなしで静かにたたずんでいます。

ポーズやシチュエーションは粗野でありながら、遊び心があり、端正なフォルムや突き出たボディーなどの大胆なディテール、そして彫刻的な本質主義が交錯するプレコレクションのシルエットを反映し、際立たせています。

ソノヤミズノ
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ソノヤ・ミズノ氏…日系でイギリスの俳優。映画『エクス・マキナ』(2014)、『ラ・ラ・ランド』、『アナイアレイション-全滅領域-』、『クレイジー・リッチ!』、Netflixシリーズ『マニアック』 への出演で知られています。最近では、高い評価を得ているシリーズ『Devs』で主役を演じ、HBOのドラマシリーズ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』にも出演しています。今後のプロジェクトとしては、サンダンス映画祭でプレミア上映された『Am I OK?』の主役を務めています。
マレー・バートレット氏
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マレー・バートレット氏…オーストラリアの俳優。HBO のシリーズでシーズン1がエミー賞を受賞した『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル 』で批評家の称賛を浴びました。最近では、Huluのリミテッドシリーズ『チッペンデールズへようこそ!』や、HBOのドラマ『The Last of Us』に出演しています。

また、ソノヤ・ミズノ氏が履(は)くトイブーツのオブジェ・トゥルーヴェのヒールと花びらのようなペタルトゥ、マレー・バートレット氏が履くブラッシュ・スエードのチェルシーブーツの誇張したトゥなど、シューズはロエベを象徴するキーディテールを備えています。

ユルゲン・テラーの一見ぶっきらぼうなポートレート写真は、豊かな表現力とエネルギッシュな勢いであらゆるものに命を吹き込んでいます。

●お問い合わせ先
ロエベ ジャパン クライアントサービス
TEL 03-6215-6116
公式サイト