• NASAは新たな火星探査車「マーズ2020」の名前を、9案の最終候補(「エンデュランス」、「テナシティ」、「プロミス」、「パーサビアランス」、「ビジョン」、「クラリティ」、「インジェニュイティ」、「フォーティチュード」、「カレッジ」)から決定しました。
  • 選ばれたのは「パーサビアランス」で、2020年夏に火星に向けて打ち上げられる予定です。

 NASAは2020年3月5日(米国時間)、「マーズ2020(Mars 2020)」と呼ばれてきた新たな火星探査車(ローバー)の名前を発表しました。その名も「パーサビアランス(Perseverance、言葉の意味は忍耐)」です。

 2020年3月5日に行われた記者会見の中で、NASAの科学ミッション部門のトーマス・ザブーケン副長官は「人類の忍耐なしでは、火星探査や歴史的偉業は決してありえませんでした」と語っています。

 「マーズ2020」の名前の募集には、スワジランドからトルクメニスタンまで世界中の学生から2万8000件以上の応募がありました。これを審査員団が155案に絞り込んだ後、NASAは2020年1月21日に最終候補の9つの案を発表しました。

 その9つの案とは、「エンデュランス(Endurance:我慢)」、「テナシティ(Tenacity:粘り強さ)」、「パーサビアランス(Perseverance:忍耐)」、「ビジョン(Vision:先見の明)」、「クラリティ(Clarity:明晰)」、「インジェニュイティ(Ingenuity:創意工夫)」、「フォーティチュード(Fortitude:不屈の精神)」、「カレッジ(Courage:勇気)」であり、その中から77万人が参加した一般投票で「パーサビアランス」が選ばれました。

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 もちろん、「パーサビアランス」は決して悪い案ではありません。ザブーケン副長官が言う通り、容赦のない火星の地形を探査するあらゆるローバーには間違いなく「忍耐」が必要です。

 では、このローバーには、どんなニックネームを付けるべきなのでしょうか? 賢明な選択肢は1つだけ、それは「パーシー」です。

 こうして「パーサビアランス」は、数々の勇敢な探査車たちの仲間入りを果たすことでしょう。火星ではこれまで、「オポチュニティ」、「スピリット」、「キュリオシティ」、「インサイト(InSight:Interior Exploration using Seismic Investigationsの略)」、「マーズ・グローバル・サーベイヤー」、「マーズ・リコネッサンス・オービター」、「メイヴン(MAVEN:Mars Atmosphere and Volatile Evolutionの略)」などのローバーや探査機が活躍してきました。

 今回の名前を応募したのは、バージニア州バークのレイク・ブラドック中学に通うアレックス・メイザーさんです。これまでの数々の勇敢な探査車と同じように、新たなローバーもNASAのジェット推進研究所に運用されます。

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Middle-School Student Names NASA’s Next Mars Rover
Middle-School Student Names NASA’s Next Mars Rover thumnail
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 今後数年間、火星上はかなり忙しいことになりそうです。

 2020年7月の「パーサビアランス」の打ち上げに加え、この夏には欧州宇宙機関(ESA)とロシア連邦宇宙局(Roscosmos)のローバーである「ロザリンド・フランクリン」の打ち上げも計画されており、このローバーは火星の過去や現在における生命の痕跡を追う見込みです。また中国とUAEも、2020年7月に火星に向かう宇宙船の打ち上げを計画しています。これらはいずれも、2020年だけの話です。

 2022年には、日本の国立研究開発法人情報通信研究機構がテラヘルツ探査機(TERahertz EXplorer)と呼ばれる超小型衛星を、火星軌道に打ち上げることを目指しています。さらに2024年には、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が火星衛星探査ミッションのための打ち上げを予定しており、このミッションでは火星の衛星である「フォボス」からサンプルを地球に持ち帰る計画です。この他、インドにも今後数年で火星軌道を探査する計画があります。

 今後数年間、「パーサビアランス」は間違いなく、数多くの驚くべき発見をもたらすことでしょう。その活躍に期待しましょう。



Source /Popular Mechanics
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。