まずは1965年へと、タイムスリップしましょう!

 当時このクルマに、どのような羨望の眼差しが向けられたのでしょうか? 本記事はもともと、アレックス・マルコヴィッチ氏の編集によって『ポピュラー・メカニクス』誌1965年に掲載されたものになります。


いまは誰でも週末の冒険家になれる時代
 

 もしあなたの腎臓が、オフロードのでこぼこ道に耐えられるほど丈夫ならば、まず最初にやるべきことは4WD車を購入することです。でも、どのクルマにすればいいのでしょう?

 新しい車種が登場したフォード「ブロンコ」もあれば、V型8気筒エンジンが搭載されたこのジープ「ワゴニア」のように、古い車種をジキルからハイドへと生まれ変わらせたものもあります。どちらのクルマもやることは基本的に同じですが、そのスタイルには大きなちがいがありました。

◇「ブロンコ」vs「ワゴニア」、デザインは?

 「ブロンコ」は、シンプルで飾りっ気のない馬車馬のようです。ベーシックモデルには屋根もドアもありませんでしたが、ボルトで留めるカタチの屋根を取りつければ、たちまちステーションワゴンやピックアップトラックに変身させることができ、その姿はがっちりしたインターナショナル・ハーベスター・スカウト(1961年から1980年までインターナショナルハーベスター社によって生産されたオフロード車)かと見まごうばかりでした。

 その一方「ワゴニア」のほうは、それに比べるとはるかに洗練されています。ですが、単なるステーションワゴンとも言えます。豊富な種類の荷台があるジープ「グラディエーター」のプラットフォームをベースに開発されたものです。

◇スペックは?

ブロンコ,ワゴニア,テストドライブ,対決,bronco,wagoneer,フォード「ブロンコ(bronco)」,ジープ「ワゴニア(wagoneer)」,1965年に行ったテストドライブ対決,
POPULAR MECHANICS

 「ブロンコ」は、3速のマニュアルトランスミッションが台座にマウントされているだけでした。3速すべてがシンクロしており、これは坂を上っているときにセカンドで立ち往生したときなどに便利です。低速でなければ、床のトランスファーケースから突き出ているレバーで、停止することなく2WDと4WDのシフト変更をすることも可能ですが、低速の場合は停車しなければなりません。

 標準的なリアアクスルは2780ポンド(約1260キロ)と控えめなキャパシティになっていて、オプションのアクスルではそこからさらに520ポンド(約235キロ)ほど増えます。その他のオプションとしては、アンダーシャシー・スキッド・プレート、ヘビー・デューティ・サスペンション、パワー・テイクオフ、ウィンチなどがあります。

 一方の「ワゴニア」は、より多目的のクルマということが言えます。豪華なオプションも豊富にそろっており、その外観も近所の人たちから羨望の眼差しを向けられそうです。このクルマに乗って、土曜日はハンティングへと出かけ、日曜日はカントリークラブまでドライブ…といった具合に。実際、2WDのみのバージョンを選ぶことだってできるたのです。

◇どんなオプションがあった?

 われわれがテストドライブに使ったワゴニアは4WDで、ランブラー製のV8がオプション装備されていました。さらにオートマティックトランスミッション、フルカーペット、ラジオ、パワーブレーキ、パワーステアリング、おまけにエアコンディショナーという、なんでもありのモデルでした。

 私(筆者マルコヴィッチ氏)の妻は、ふだんは4WD車に対して、まるでネズミの死骸でも見るような目を向けるのですが…(笑)、この「ワゴニア」にはいたく気に入ったようでした。

ブロンコ,ワゴニア,テストドライブ,対決,bronco,wagoneer,フォード「ブロンコ(bronco)」,ジープ「ワゴニア(wagoneer)」,1965年に行ったテストドライブ対決,
POPULAR MECHANICS
a plywood 4x8 won’t lie flat in the wagoneer because of wheel well interference nevertheless, deck is roomy, considering modest wheelbase
POPULAR MECHANICS

 ラフロードの「ワゴニア」は、ホイールベースが長く、リアが大きく突き出ているにもかかわらず、なかなかのものでした。どちらのクルマとも、まるで尻に火がついたマントヒヒのように坂を駆け上がってゆき、「ブロンコ」は72パーセント(100m進んだら72m高さが増す傾斜)、「ワゴニア」は60パーセント(100m進んだら60m高さが増す傾斜)の急勾配をクリアすることができました。

◇「ブロンコ」vs「ワゴニア」、操作性の感想

 舗装道路では、「ワゴニア」はその優位性を存分に発揮しました。

 その乗り心地は固めではありますが、「ブロンコ」ほど弾むことはありません。「ワゴニア」の0から60マイル毎時(mph)までの加速タイムが、オートマティックをマニュアルでシフトしたときで12秒ちょうど(Driveで13.1秒)だったのに対して、「ブロンコ」では、フロントガラスを低くしたときで19.8秒でした。

 コーナーの走りはどちらのクルマも上々で、2WDでコーナーを曲がったあと、4WDの安定した走りに切り替えました。

 「ワゴニアの」パワーステアリングはあまり効いているような感じがしませんでしたが、マニュアルではもっといいかもしれません。ステアリングもこちらのほうがスローで、44.6フィート(約13.6メートル)という最小回転半径は「ブロンコ」の34フィート(約10.4メートル)に比べると、操作性に劣ります。 

◇テストドライブを終えて

ブロンコ,ワゴニア,テストドライブ,対決,bronco,wagoneer,フォード「ブロンコ(bronco)」,ジープ「ワゴニア(wagoneer)」,1965年に行ったテストドライブ対決,
POPULAR MECHANICS

 われわれがテストで使用した「ブロンコ」は、オプションのバケットシート仕様で、これが非常に快適でした。高いシートメタルの床のでっぱりとトランスファーケースのレバーおかげで、フロントシート3席目のスペースがないだけにこれは価値の高いものです。

 「ワゴニア」の場合、トランスファーケースのレバーがかなり前方にあるので、フロントシートに座っていても足の邪魔になりません。高速から低速への切り替えや4WDに戻すときのアクションは異常に固いのですが、カイザージープ社の担当者によると、使い込んでいくうちにもっとスムーズになるとのことです。

 計器類が多いのは「ワゴニア」のほうですが、読みやすさは「ブロンコ」のほうが上。また「ブロンコ」は追加料金で、フルセットをそろえることができました。そして両車とも、2WDでは駆動系のノイズはありませんでした。が、4WDでは特徴的な作動音が聞こえました。

◇価格はどうだった?

 両車の最も大きなちがいのひとつが、価格でした。

 4WDの「ワゴニア」が、装備なしのオーバーヘッドカム6気筒で3716ドル~。ちなみにわれわれがテストドライブで使用したフル装備モデルで、5267ドルでした。

 「ブロンコ」のほうは、(この記事を掲載した時点では)まだフォードから価格が発表になっていませんが、インターナショナル・ハーベスター・スカウトのようなクルマに対抗できる、ベース価格で2350ドル前後が期待されています…とのことでした。

Source / Popular Mechanics
Translation / Satoru Imada
※この翻訳は抄訳です。