力強く躍動的な書体は 呼吸を整え、神経を集中して 一揆に描く。そして、武道の精神と同じように、書くときは感謝の気持ちを忘れない…。そうして完成した書は、誰の心にも刺さる芸術品だ。

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書/武田双雲

そんな武田さんの社会人としてのキャリアは、NTTの社員から始まる。しかも部署は、ITを推進するの仕事現場だったという...「エリートITマン」だったというから驚きだ。

ある日、同僚の女性から武田さんに名前文字の依頼が舞い込んだ。その字があまりにもうまく、その女性は感動で涙を流してくれたということ。結局それが、会社を辞めるきっかけとなり、人生に後悔したくないということで書道家の道へと向かわせたのだった。

現在では書道家の第一人者として大人気となっている武田さんに、私(写真家の高橋福生)が今までの経緯や趣味など、いろいろとお尋ねしてみた..。


Q1.

まずNTT時代の会社を
辞めるきっかけとなった、
その事をお聞かせください…

「どんな仕事でも楽しもう」と工夫していました。その一つが、電話したときのメモを筆で書くことでした。電話しながら墨を磨り、伝言を和紙に筆で書きます。それを続けていたら、他の部署までその噂が広がりました…。

「筆で丁寧に書いたら
涙を流していただき…
そのとき人生が変わりました」

「変わった若い社員がいる」ということで、他の部署の女性たちから代筆を頼まれたりするようになったのです。そしてある日、他の部署の営業部の女性から、「私の名前を書いて欲しい」と頼まれます。

そして、筆で丁寧に書かせていただいたのですが、その女性は涙して喜んでくれたのです…。それが体験が、僕の人生を大きく変えたくれたのです。

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Tomio Takahashi

Q2.

書道家以前に出合った、
空海の出家宣言の書
「三教指帰(さんごうしき)」から
勇気をもらい、
後押ししてくれたそうですが...

20代の空海が書いた渾身のお手紙の直筆を時空を超えて鑑賞させてもらった体験は、僕にとって大きな意味を持ちました。「想いは伝わる」ということを教えてもらった感覚です。魂を込めて相手の立場に立って、伝えることの大切さを学びました。そして、書道家としての筆文字のパワーも実感しました。それが自信にもつながりました。


- ストリート書家としてのスタート -

Q3.


その後ストリート書家として、
道かう人々の名前をその場で書く
ということもやったそうですが…

お店が閉まる夜の9時頃から駅近くの路上に座って、書道をやっていました。誰も足を止めず、恥ずかしかったり、そわそわしていたのですが、少しつつ慣れてきて落ちてついてきた頃に足を止めてくれた若い女性が、「何か書いてください」とおっしゃるので話を聞くと、「ついさっき、失恋したばかり」ということで悲しみにくれていました

そこで僕は、薄い墨で「愛」と書きました。すると号泣して、喜んでくれました。そういうリアルな感動体験が重なることで、「書道というものは人の心を動かすものだ」と確信へと変わっていきました。

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Tomio Takahashi

ストリート書道から始まり、作品や書道教室での授業の様子や全国各地でのパフォーマンス書道がメディアに取り上げられ…その後、日テレ『世界一受けたい授業』や2009年のNHK大河ドラマ『天地人』のタイトルバッグに登場する題字を行ったことで、一躍脚光を浴びていったのだ。

Q4.

武田さんが意識して過ごしていること、
ご趣味はございますか…

歌うことです。コロナ禍から皆さんから求められて、LINEライブですでに400回以上毎日のようにギターでリクエストのあった歌を歌っています。毎回、2000人前後の人が来てくれて、喜んでくれています。

Q5.

書道は書くときだけではなく、
墨を摺っているときも大切な時間
つまり「作法」だということですが、
これ以外に書く前の
ルーティンはありますか…

日々の歯磨きやタオルで拭いたり、服を着替える些細なことを丁寧に楽しんでやるように心がけています。丁寧道という言葉をつくり、clubhouseやオンラインサロンなどで伝えています。

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Tomio Takahashi

- リラックスして
楽しんでいれば、
自然と感謝につながる -

Q6.

大切にしている
文字が「楽」ということですが、
ここにどのような気持ちを
抱いているのですか…

「楽」という漢字は、「らく」と「たのしい」という両方の意味が含まれています。両方のバランスが整っている状態を、できるだけ保つということを心がけています。全てにおいて、楽しみリラックスをしている状態。「楽」という漢字の字源は、原始的な祭りのときの鈴とそれをかける道具を表しています。つまり、神様に感謝しているときを表しています。リラックスして楽しんでいれば、自然と感謝の気持ちが湧き上がって来ることに気づき、日々それを実践しています。

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Tomio Takahashi
Q7.

2016年、カフェギャラリー
「地球」というオーガニックのお店を
始めた経緯を教えてください…

海外に行くと“オーガニック”が普通に存在していて、とても美味しい体験ができます。そこで日本を省みると、かなり遅れているということを知って立ち上げました。全国のオーガニック野菜を育てている農家さんを実際回ってみると、自然への感謝の気持ちを農家の皆さんが持たれていて感動しました。

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書/武田双雲
Q8.


「書は人生を変える大切なもの」
ということを書かれておられますが、
この具体的な意味と、
これからの書道家としての夢や
告知がありましたらをお聞かせください…

私たち人間は、「言葉」というものを手に入れました。この言葉を刻む「文字」を書くことが「書」です。僕はこの言葉と文字という素晴らしいツールを使って、世界中の人類の皆さんに向けて「感謝」と「楽」の素晴らしさを伝えていきたいと思っています。

このたびは、ご縁をありがとうございました。

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Tomio Takahashi


 

武田双雲ウェブサイト

※最新の個展情報などは下記から
News | 武田双雲ウェブサイト

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写真家,カメラマン,高橋福生
Tomio Takahashi

写真・文/高橋福生(たかはし・とみお)

撮影スタジオ勤務中の23才のとき、カメラ誌に載ったグラビアが、報道写真界の草分け三木 淳氏に高く評価される。それが転期となり、写真家を志すためにフリーとなる。メーカ-フォトサロンをはじめ、数多くの写真展を開催。雑誌や広告などでも活躍中。「癒しの水の情景」「美しい光の情景」をテーマに、水と光の情景写真家として媒体などで作品を発表。テレビ朝日系『人生の楽園』に出演し、癒しの水風景「水園」の作品が紹介される。これらの「水園」シリーズは東京都写真美術館でも展示された。現在もライフワークとも言うべきプロジェクト、著名アーティストを光で演出した情景「未来に残したい光のアーティスト」を継続している注目のフォトグラファー。現在、高橋作品を使用した「癒しの水の情景」のデジウォールを「壁紙のトキワ」と、オリジナルプリント「WePhoto高橋福生 | 写真家別 | WePhoto | 日本を代表する写真家の作品(オリジナルプリント)販売」をそれぞれ販売中。。

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