1927年の創業以来、安全性を重視するクルマづくりに取り組んできた自動車メーカーと言えば、ボルボ・カーズ(以下ボルボ)が有名です。1959年にボルボのエンジニアのニルス・ボーリン氏が発明した「3点式シートベルト」ですが、ボルボがその特許の利用を無償にしたことで、他の多くの自動車メーカーに採用されたのは有名な話かもしれません。ボルボ本社の推計によりますと、「これまでに世界で、100万人以上の命を救ってきた」と言います。

 先日、そのボルボが「自社の安全革新によって100万人の命が救われた」ことを祝うために、アメリカンフットボールのNFLナンバーワンチームを決める一戦、スーパーボウルにて、あるキャンペーンを実施することを発表しました。

 その内容とは、サンフランシスコ・49ersとカンザスシティ・チーフスの間で争われるスーパーボウルで、「セーフティー」が起きたら、100万ドル(日本円で約1億897万円)の自動車を寄付すると言うものです。

 この「セーフティー」とは、アメフトにおける1つの得点となる場面のこと。ディフェンス側が相手エンドゾーン内でQB(クォーターバック)サックやボールを持ったRB(ランニングバック)などにタックルしてボールデッドにした場合、2点がディフェンス側に与えられるプレイになります。タッチダウン、フィールドゴールと異なって、得点を入れられたチームがキックオフを行い、得点を入れたチームがリターン側となって攻撃権を得ることができるようになっています。

 スーパーボウルにおいて、この「セーフティー」が見られるのは比較的まれなこと。これまでにあったのは、わずか9回。最新のケースを言えば、2014年の第48回スーパーボウルにおいて。

 この試合開始早々、キックオフ直後のデンバー・ブロンコス最初の攻撃シリーズ最初のプレーで、QBペイトン・マニング選手とC(センター)マニー・ラミレス選手の呼吸が合わずにスナップされたボールがマニング選手を超えてエンドゾーンへ。それをデンバー・ブロンコスのRBノーション・モレノ選手がシーホークス側のTD(タッチダウン)となることを恐れ、エンドゾーン内であることにもかかわらずそのままリカバー。これによって、シーホークスへの2点を献上することになっています。

NFL Super Bowl XLVIIIにて、デンバー・ブロンコスがセーフティーを献上する
Icon Sports Wire//Getty Images
2014年、第48回スーパーボウル、シアトル・シーホークス対デンバー・ブロンコスの1戦で起きたセーフティー。オフェンス側のブロンコス(オレンジ色のジャージーを着用)の#27モレノ選手がエンドゾーンでボールをリカバーしています。

 これは言うまでもなく、安全性の「セーフティー」とアメフトの「セーフティー」を掛けたダジャレです(ジョークの説明を真面目な顔をしてするのは興ざめしてしまいますよね。ボルボさん、申し訳ございません…)。しかし、ただのダジャレに見えるかもしれませんが、そこには確固たるメッセージが込められているのです。 

 専用ページに掲載されたボルボのメッセージを要約すると、次のようになります。

 アメフトにおける「セーフティー」とは、試合の流れを一気に変えてしまう「ゲームチェンジャー」です。そして、安全性の革新も同じだとボルボは考えています。例えわずかな安全性の進化であっても、「それはゲームチェンジャーになりうる」と。だからこそ、「もう一度安全性の大切さを皆さんに認識していただきたい」という思いで始められたキャンペーンであるとのことです。

 このキャンペーンに応募するには専用ページにアクセスし、「ビルドコンフィギュレーター(希望する条件を設定して、クルマのシミュレーションができる企画)」で、“自分が描く夢のボルボ”を設定する必要があります。車種は、2020年ラインナップの全ボルボが対象。理想のボルボを登録し、自身の基本情報を入力した後に専用の確認コードが発行されます。

volvoのキャンペーン内容のホームページ
volvo

 応募受付はすでに開始されており、スーパーボウルのキックオフ直前まで受け付けています。セーフティーがあった場合は抽選が行われ、当選者には申込時にシミュレートしたボルボが贈られるとのこと。ただ1つ残念なことに、このキャンペーンの対象者は18歳以上の米国在住者で、クルマの免許を持っていることが最低限求められるとのこと…。

 日本のスーパーボウルファン、ボルボファンには、このキャンペーンへの応募は難しいことでしょう。しかしながら、このようなキャンペーンを知り、もう一度クルマの安全性について再確認するきっかけにしていただければ幸いです。

 それでは日本時間2020年2月3日(月)に、アメリカ・フロリダ州マイアミのハードロック・スタジアムを舞台にNFL100周年となった2019年シーズンを締めくくる第54回スーパーボウル、NFC(ナショナル・フットボール・カンファレンス)王者サンフランシスコ・49ersとAFC(アメリカン・フットボール・カンファレンス)の王者カンザスシティ・チーフスの一戦を楽しんでください。さて、「セーフティー」は出るでしょうか…。

Source /Road and Track
Translate / Esquire JP
この翻訳は抄訳です。